書斎の死体          アガサ・クリステイ


ハヤカワ・ミステリ文庫 THE BODY IN THE LIBRARY 高橋 豊 訳

 犯人はAを殺す目的で、Aに似たBを殺す。すぐAとあってアリバイを作っておく。後でBの死体をAの服装をさせて、目立つところにおいておく。そして呼ばれたときに死体をAであると主張する。終わってから本当のAはAと認識できない形で殺してしまう、というプロットである。
 静かなセント・メアリ・ミード村。だがパントリー夫人が、朝眼をさますと書斎に、古いイブニングドレスを着た若い女の絞殺死体が転がっていた。パントリー夫人がマープル女史を呼び、元警視総監のヘンリーや地元警察のメルチェット大佐等と共に捜査にあたる。
 村には、ロンドンからベイジル・ブレイクという素行のあやしげな演出家が来ており、その女ではないかとも考えられたが、生存していた。
 しかしマジェステイックハウスのジョジーなるダンサーの証言で、彼女はダンサー仲間のルビー・キーンであると判明した。ハウスには資産家で、事故で妻を亡くし、自身も車椅子生活を行うコンウエイ・ジェファーソン、義理の娘のアダレイド、義理の息子で素行の悪いマーク等がいた。調べて行くうちにコンウエイは、最近ルビーに熱をあげ、彼女を養女にし、本来はアダレイドとマークに行く筈の遺産の大部分を、彼女に提供するよう遺言書を書き換えたと言うことだった。
 するとアダレイド、マークの二人に殺害の動機があるわけだが、二人ともアリバイは完全だった。マープルは、ジョジーとマークが結婚していることを突き止めるが、ジョジーもルビー・キーン殺害推定時刻に、彼女と顔を合わせており、アリバイはあった。
 郊外で車が炎上し、黒こげ死体が見つかったが、所持品から、行方不明になっていたベイジルの仲間のパメラと判定された。二つの殺人はどうつながるのだろうか。
 しかしマープルは、証言のわずかな食い違いから、書斎で死んでいた死体が実はパメラで、車の中から発見された死体が、ルビー・キーンであることを見破る。ジョジーとマークは、財産がルビーに行くとなって驚き、ルビーを殺害し、その罪をすべてベイジルに着せようと計画を練った。まずルビーに似ているパメラを殺害して、死体をベイジルの別荘に放り込んだ。ところがベイジルが、いたずら心で、死体をパントリー夫人の書斎に移動したことからおかしな事になったのだった。二人は、さらにルビーを焼き殺し、コンウエイ殺人を狙って、ジキタリンを注射しようとしたが・・・。

 非常にショッキングなでだしだし、最後の実は死体はルビー・キーンではなかったと推理するところはあっと言わせる。ただ、死亡推定時刻に、ジョジーがルビー・キーンにあっていたことに捜査陣は疑問を持たなかったか、と言う気はする。

r990410 rr991012