ハヤカワ・ミステリ文庫 DEAD MAN'S FOLLY 田村 隆一 訳
騒がしい女流探偵作家オリヴァ夫人に頼まれて、ポアロは、ナス屋敷で開かれる犯人探しゲームに出かける。ナス屋敷の主人は、ジョージ・スタッブス卿、その妻ハテイ。実はナス屋敷はフォリアット夫人の所有だったのだが、財政事情でスタッブス卿が購入した。夫人はその一画にいまだに住んでいる。ゲームの出演者は秘書のアマンダ、執事のヘンデン、建築家のマイケル、レッグ夫妻など。近くにはユースホステルがあり、そこの宿泊人たちは屋敷を通り抜けて河畔に行くから、住人たちはおおいに迷惑していた。
一般入場者も入ってきて盛り上がった頃、オリヴァとポアロは、死体役を勤めるはずの少女団の団員マーリンを見舞いに河畔のボート小屋に行く。ところが、少女は、本当にそこで絞殺されていたのだ。そしてそのころハテイがいなくなっていることが発見された。ゲームは中止された。
ハテイは殺されたのではないか、その現場をみた少女は口を封じられたのではないか、など疑問点が指摘される。警察はちょうどそのころ豪華ボートで駆けつけたハテイの従兄のエテイエンヌを疑うが、証拠は全くなく、日にちが過ぎていった。
最後にポアロが、フォリアット夫人に語る。あなたは息子さんが事故で亡くなったと言っておられたが、生きていた。あなたはその息子さんをスタッブス卿として、屋敷の所有者で気だての良いハテイと結婚させた。しかし息子さんにはイタリア人の妻がいた。息子さんはハテイを殺して、その妻をハテイとして屋敷に住まわせた。それを知って吹聴する少女を、犯人探しゲームを利用して殺させ、息子の妻をイタリアに逃がした・・・。
失った屋敷を取り返すために、死んだことになっている息子を別名で登場させ、屋敷の所有者である女性と結婚させるというアイデアはなかなか面白い。オリヴァ夫人のあわてぶりや、小さな事実を組み合わせてポアロが推理して行く過程もよく書けている。
しかしこの作品は筋立てにどうもあらっぽさが目立つような気がする。
ハテイが頭が弱く、身寄りがなく、弁護士に相談もせず、簡単に財産の名義を一夜の内に書き換えたというのはいくらなんでもできすぎという気がする。さらになぜ、妻は消える必要があるのか、ハテイが殺され、妻が成り代わったという事件はかなり前の様に書いてあるがどうなのか等々、疑問が残る。
990416 r991012