ハヤカワ・ミステリ文庫 THE SITTAFORD MYSTERY 田村 隆一訳
裕福なトリヴィリアン大佐は、冬だけ山荘をウイリット母娘に貸し、自分はふもとの村に住むことにした。ウイリット母娘は人好きで、雪の日、同一地帯のバンガローの住人や大佐の友人のバーナビ少佐等を招き、降霊術遊びをした。ところが霊は村の大佐が殺害されると予言、バーナビ少佐が駆けつけると、はたして撲殺されていた。死体推定時刻は術を行っていた前後、山荘から村まで歩いて2時間以上もかかるから、降霊術参加者は除外されそうだ。
遺言書によれば大佐の多額の遺産は妹と三人の甥に等分に分けられることになっていた。そこで当日大佐を訪問した年上の甥ジェイムスが逮捕され、彼は自白する。
しかし婚約者のエミリーは、彼がやったと信じず、新聞記者のエンダビイを味方に引き入れて調査を開始する。降霊術に参加していなかったメンバーには誰も疑わしい点があるが、決定的な証拠がない。オーストラリアにいたはずの末の甥が実は帰っていて、ウイリットの娘とあやしい関係、と判明し、一時は彼の犯行と考えられる。
最後に山荘からブーツがなくなっていることが発見され、術への参加者が犯人であった事が判明する。トリヴィアン大佐はフットボールの試合予想で5000ポンドあてたが、それはバーナビ少佐名義で買ったものだった。それがほしくなった犯人は、降霊術でみんなを疑わせ、山荘からスキーで大佐宅に駆けつけ殺害したのだった。
書き方という点から考えると、この作品は全体330ページを31章に分け、それぞれのページ数は最小6ページ、最大18ページ、平均11ページ弱で安定しており、最初にプロット配分をし、それにそって書かれた感じがする。ほぼ時系列的であるから理解はやさしい。
便乗殺人もなく話はすっきりしている。
ただし解決はあっと言わせるが、エラリー・クイーン流に「読者よ、犯人を当ててみなさい。」としても当たるものではない。予想外すぎる答えだからだ。もっともクリステイは外の作品同様犯人あてよりも解決プロセスを読者とともに考えようとしているのかも知れない。それにしてもクリステイはよくいろんな殺人動機を考える物と感心。賭け金を横取りしようとした殺人、なんてありだろうか。
r991007