スミソン氏の遺骨     リチャード・T・コンロイ

創元推理文庫  Mr.SMITHSON’S BONES   浅倉久志 訳

ヘンリー・スラッグスは42歳、スミソニアン博物館渉外業務室職員。国務省から出向して半年、出世の道も見えぬまま、彼は日々海外からの来賓や職員のパスポート問題などに振り回されている。そんなある日、来賓を案内したおり、納骨堂にあるはずのスミソニアンの創設者スミソン氏の遺骨に遭遇する。

それを皮切りに彼は博物館ならではの処理をされた独創的な死体を次々に発見してゆく。しかし何しろ博物館のお歴々は、自由に研究し、自由に休暇を取り、自由な私生活を送っているとあって居所がつかめぬ。その結果死体が誰かを同定することさえなかなか困難。

そしてなぞにつつまれた殺人理由、誰がどんな目的で連続殺人を敢行するのか、まだ殺人の可能性があるのか・・・・。

死体処理の方法が非常に面白い。凍結乾燥をした上での話らしいが

第一の被害者  ばらばらにして他の人骨の入っていた石棺の中に収める

第二の被害者  動物の死骸を食うカツオブシムシに食わせてしまう

第三の被害者 布でぐるぐる巻きにしてミイラとして展示する

第四の被害者 展示飛行機のパイロットのダミーと入れ替えてしまう

第五の被害者(女性) ばらばらにしてライオンの餌にしてしまう。頭はアルコール漬けにし、逆さに向けておくとイソギンチャクの標本のように見える。

ユーモアとウイットにあふれる作品である。読みながら、とても経験がなければかけぬ、と感じたが、著者はやはりスミソニアン博物館の職員だったそうだ。推理小説として面白いが、スミソニアン博物館職員あるいは平均的な米国公務員の仕事振りを知る上で大いに参考になること請け合い。