創元推理文庫 A COOL BREEZE ON THE UNDERGROUND 東江 一紀 訳
ストリートキッズのニールは十一歳の時、財布を盗んだのが縁?でジョー・グレアムに拾われる。頭が良かったから、仕送りで十八世紀文学を大学で研究したりしている。キタリッジ家は、元海賊まがいだったが、後に銀行を経営、巨大な富を築いていた。今世紀はじめに一族のウイリアムは、顧客サービスの一環として困った顧客の問題を秘密裏に解決する朋友会なる機関を作りあげた。ジョーはこの朋友会の雇われ探偵だったのだ。ニールは学業に専念するかたわら、探偵に必要なあらゆる能力をたたき込まれる。
十九歳になったニールは、銀行会長イーサンから突然の呼び出しを受け、「上院議員チェイスは、次期大統領候補の指名を受ける予定になっている。しかしその娘アリーは放埒、同級生とロンドンにしけこんだあげく、姿をくらましてしまった。指名の日までに、探し出してほしい。」一切の面倒は、朋友会のニューヨーク支部長レヴァイアンが見ると言うのだが、どうもこいつはニールに敵意を抱いている様子。
ロンドンにわたったニールは、長い張り込みの末、彼女が麻薬の売人コリンに捕まり、ヤク中毒でコリンの女になっているのを発見する。手下のクリスプの財布を盗んで、彼らに近づき仲間となる。「奇観本を持っている奴を知っている、それを転売して金を作り、ヘロインも扱うようにしよう。」と持ちかけ一万ドルを用意させる。「今が幸せ。」とコリンの術中に陥った彼女をようように説得して、その金と共に山の中の一軒家に逃避する。そして彼女の再生生活・・・。しかし聞いてみると彼女が家を出たのは、実は父親のチェイスに犯されたからと知る。その上彼は彼女を愛し始め、別の筋からは彼女はチェイスの実の子ではないとの情報も得て、連れ戻しに疑問を感じ始める。
期日がせまり、一旦はコリンに見つかるものの、二人はようようにしてロンドンを脱出、ニューヨークに行くと見せ掛けてロス・アンゼルスに到着し、二人だけの生活を考えた。しかしそこにはアリーの本当の父親が待っていた・・・。
文学をこよなく愛する元ストリートキッズ探偵、探偵社の一員で秘蔵っ子だから金はいくらでも使えるというニールのキャラクター設定が面白く、夢を感じさせる。非常にハードボイルドを感じさせるところと、アマチュアっぽい甘さを感じさせるところがうまくミックスされて独特の雰囲気を作り上げている。会話も非常に気が利いているが、日本人にはついて行きにくいところも多く、その上過激なようだ。
・岩塩を弾の代わりに使う(474P)
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