水晶栓            モーリス・ルブラン


新潮文庫 LE BOUCHON DE CRISTAL  堀口 大学 訳

ルパンは、部下のボーシュレー、ジルベールの発案でドーブレック氏の別荘に忍び込み、財宝を奪うが、手違いで警官に包囲され、二人の部下を残したまま脱走する。別れ際に部下たちが水晶の栓を盗み出した事に気づき、ルパンはそっと回収するが、盗まれてしまう。
取り返そうとドーブレック氏について調査すると、水晶栓には二つの運河建設に伴う疑獄事件にからむ27人の氏名を書いた紙が隠されていること、彼はそれをタネに強請をして勢力を伸ばしていることが分かった。
ジルベールの母クラリスに頼まれて、ルパンは何とか助けようと考えるが、クラリスの先夫に恨みを持つドーブレックは、クラリスの息子ジャックを誘拐、そちらの救出が今度は重要になる。すでにジルベールには死刑が言い渡され、執行の日時は刻一刻と迫ってくる。
ジャック問題が片づき、いよいよジルベール救済を考えた矢先、今度はドーブレックが強請っていたアルビュフェ侯爵に誘拐され田舎の古城に閉じこめられる。その古城を発見、拷問されていたドーブレックを助け、水晶栓の在処を聞き出したかに見えたその瞬間、ドーブレックに裏切られる、ルパン危機一髪。
しかし再び彼を捕らえて、自室の机の上の煙草の中に隠してあった水晶栓を発見、警視庁総務課長ブラビルに交渉に行くが中の書き付けは偽物、最後は瀕死のドーブレックをクラリスが脅し、義眼の中に仕込んであった書類を回収。ついにジルベール解放に成功する。
書気付けが手に入りそうで入らず、その都度してやられるルパンと刻々せまる無実の若者の死刑期日を巡って、全編に活劇が展開され、非常に面白い。話としてもまとまっているように思う。

・そしてエドガー・ポーのあの素晴らしい物語を思い出した。その物語にあっては、大騒ぎして探されている一通の手紙が、いわば全部の人たちの目にさらされているのだ。どう見ても隠したとは思えない物を人は疑おうとはしないのだ。(237P)
・クロロフォルム(263P)