創元推理文庫 THE PROBLEM OF THE WIRE GAGE 厚木 淳 訳
青年弁護士ヒュー、ヒューよりは若いが倣岸な美青年フランク、その婚約者ブレンダ、近所の未亡人キテイの四人がテニスをしていたがあいにくの雨、諦めて帰った。ところが雨が上がり、テニスコートに戻るとコートの中央に、スカーフを首に巻いたフランクの絞殺死体が残っていた。ブレンダやヒューの足跡が問題になるが、いづれも後からつけられた物で、残ったのはテニスコートの中央に向かうフランクの足跡だけ。設定は「白い僧院の殺人」を思わせる。フランクに思いを寄せていたらしいマッジ、そのマッジを慕うアーサー等も犯人候補にあがるが、決め手がない。
犯人は、現場に到着する為に逆立ちをしたのではないか、あるいはネットの上を歩いていったのではないかなどの考えが出される。前者については「空中の足跡」のアイデア。そうこうするうちに、事件の目撃者と思われるアーサーが銃で撃たれて死ぬ。
最後にフェル博士が事件を解く。フランク擁護者で自動車事故に遭って骨折しているニック老人は破産寸前。彼は、ブレンダとフランクの後見人だが、彼らが結婚すると、膨大な遺産が彼らのものになってしまい、自分は文無し。ブレンダだけなら、自分の好きなように財産を処分出来ると考え、フランク殺害を計画したのだった。
彼が言う「自動テニス練習機」はコートをまっすぐに横切るロープに沿って、テニス・ロボットをつり下げて走る一種の高架滑車である。そのの発明がま近い、手伝ってくれ、とコートの中央にフランクを呼び出す。人形の首周り寸法をいれたロープの長さを測る必要がある。悪いが人形の代わりにスカーフの上からで良いからロープを巻き付けて見てくれ、とコートの外から頼む。分かりました。とフランクがスカーフの上から巻き付けると、端を引っ張ってぐい!見事に絞め殺された、という種明かし。ちょっとばかばかしい殺人だが、それもまた面白い?
・骨折によって、フランクを殺しても自分はまったく安全でいられるという着想が、突如として天啓のようにひらめいたのだ。(317P)
・殺人を成功させる秘訣は、被害者に笑顔で接する事なのだ。家庭的な場景?親しみやすいテニスコート?<当意即妙の返事>ができるかどうかの、ちょっとした実験?試してみろとは薦めないが、きっとうまく行くはずだな。(331P)
r991111