創元推理文庫 THE HOUSE IN GOBLIN WOOD 宇野 利泰 訳
妖魔の森の家・・・・バスケットにバラバラ死体を入れて持ち帰り・・・。
「二十年前、ヴィッキーが妖魔の森の別荘で突然消え、いつの間にか戻ってきた事件がありましたね。どうしてそんなことができたのか知りたいと思いませんか。」
H.M.ことヘンリー・メリヴェール郷は、イーヴとその恋人セイジに誘われて、消えてみせた本人ヴィッキーをつれて件の別荘に出かけた。昔消えた理由は分かったが、今度は本当にヴィッキーがいなくなってしまった。仕方なく三人はピクニックの大きなバスケットを抱えて帰ったのだが…。
遺産を相続しようと、昔の事件に事寄せて女を殺し、バラバラ死体をバスケットに入れて持ち帰り、H.M.を証人に仕立てようとした話だった。
・ 七年たてば、ヴィッキー・アダムズの失踪宣言が確定して、法律上死亡したものと見なされる。(48p)(1947)
軽率だった夜盗・・・・自分の血の付いた服を犯人のそれと取り替えて
富豪のハント氏は名画の本物をかけたまま、美術商のロルフ氏、美術評論家ヘンダーソン氏とポーカーに興じる。その夜、おそれていた通り泥棒が入り、刺されたが、顔を見るとなんとハント自身。なぜハント氏は自分の屋敷に盗みに入ったのだろうか。フェル博士は、ナイフで強くさした傷口から血が出ていないことを指摘し、ハント氏は泥棒を見つけ格闘となったが刺されてしまった、しかし犯人は返り血を浴びた、そこで犯人は血のついた自分の服とハント氏の服を入れ替えた、と解き明かす。すると屋敷にいるものの中でハント氏と服を入れ替えてもおかしくない人物はだれか?
(1947)
ある密室・・・・密室話の逆
フランシス・シートンはデスクのうしろに昏倒し、金庫内の物はすっかり盗まれていた。見つけたのは秘書兼タイピストのアイリス・レインと図書係りのハロルド・ミルズだった。テラスに梯子がかかり、足跡もあったから、外から何者かが侵入したのだろうか。しかしフェル博士はドア以外の開口部である二つの窓のさんがおりていたことに気がついた。通常の密室話のウラをいっているところがミソである。
(1943)
赤いカツラの手がかり・・・・トルコ風呂から運ばれた死体
ダイエットで有名なヘイゼル・ローリングが公園で下着一枚、着物は脇にたたんでおいたままの状態で、頭蓋骨を砕かれて死んでいた。傍には畳んだ服のほかに赤いかつらと黒眼鏡。警察は事件現場で殺されたと考えるが、事件の取材を任された女性記者が、靴紐のストラップボタンがはめてなかったことから、死体がトルコ風呂から運ばれてきたものであることに気がつくところが面白い。ただ別の場所で殺されたのだが、死体がトルコ風呂まで歩いて行って、スチームルームで倒れたとする考えはちょっと苦しい気がする。(1948)
第三の銃弾・・・・殺人の銃弾は窓の外から
刑事が近づいた時、元判事は撃ち殺されており、側には惚けたようなホワイト氏がいた。彼は判事の判決で罰金、むち打ち刑を受けたことがあり、判事を深く怨んでいた。銃はホワイト氏がレヴォルヴァを持っており、別に壺の中から弁護士トラヴァース卿のブローニングが見つかった。銃はそれぞれが一発づつ撃っていた。ここにいたって両方ともホワイト氏が撃ったのでは、との疑問がだされた。さらに驚いたことに判事の体内から見つかった弾はエアガンによるものだった!。
実は、ホワイト氏の最初の計画ではレヴォルナとブローニングを発射、二発目で殺し、弁護士に罪をなすりつけようとしたのだが、肝心の二発目を失敗したところに警官が到着した。ところが窓の外にいたキャロリンが、父親の危機と、手持ちの音のでないエアガンで撃ったものだった。めずらしく、探偵役はマーキス大佐。(1947)
r991116 rr010601