新潮文庫 中村 能三 訳
ファラーズ夫人が自殺したが、彼女には夫殺しの噂があった。
翌日夜、医者の私は、アクロイド家の執事パーカーから電話で駆けつけると、鍵にかかった書斎でアクロイド氏が短剣で刺し殺されていた。パーカーは、びっくりしたが、不思議なことに電話をした覚えはないという。しかし私の姉は私に電話があったことを証言する。
謎解きに私と私の家のとなりに引っ越してきた、今は引退の身のポアロがあたる。まずアクロイド氏の前妻の子、ラルフ・ベイトンが姿をくらまし、疑われるが、実は彼は小間使いアーシュラと結婚していて、その仲故に、殺人犯に仕立てられる事を恐れて隠れていたものだった。
事件の頃、怪しい男が徘徊していて彼は麻薬売買に関係していたらしかったが、実は家政婦エリザベス・ラッセルの子で、家政婦は事実が漏れるのを恐れていた。
またアクロイドのもとにあった金の一部がなくなったが、これは娘のフロラがくすねたものだった。
推理のポイントは、犯行時刻のごまかしにあった。アクロイドが死ぬ直前、見知らぬ男と話していたと見られたのは、実は最近買った録音機が鳴っていた物で、犯行時刻はもっと前。録音機が鳴っていたときすでにアクロイドは死んでいた。私のアリバイになった電話は、関係のない男がアメリカ行きの船の上からかけたもの。
私はファラーズ夫人の主治医だった。夫の死後、ファラーズ夫人を夫殺しで恐喝して金を巻き上げた私は、夫人の自殺後、今度はアクロイドが真実を知っているかもしれないと恐れ、彼を殺す決心をしたのだった。
私が電話で駆けつけたように見せかけたのは、殺人現場においた録音機をいの一番に駆けつけ、そっと回収しなければならなかったからだ。
* テープレコーダによるアリバイ作り
* 犯行時刻のごまかし
* 電話によるアリバイ作り
* 私自身が犯人
* 犯罪を知って恐喝
r991003