案外まともな犯罪       ジョイス・ポーター

ハヤカワ・ポケット・ミステリー RATHER A COMMON SORT OF CRIME 黒田 晶子訳

貴族の称号を持つ金持ちのオールドミス、しかし金も信用も品もないオバタリアン女性、ホン・コンの開いたコニー相談所。
持ち込まれた件は
「警察が自殺とした息子ロドニーの死が、他殺であることを証明してほしい。」
ところがこの息子が、銀行強盗もしたとんでもない悪党。
彼は、仲間と悪の巣窟カマ・スートラに出入りしていたが、持参したウイスキーをラッパ飲みしたところ、急性砒素中毒で死んでしまった。
仲間の大将ジャックと対立していたことから、彼に殺されたとも考えられたが、そうでもなさそう。
そのうちに彼を雇っていて、死後姿を消したスミスなる男が浮かぶ。
「こいつがゲイで、ロドニーを買ったが、縁を切りたくなって殺したに違いない!」
仲良くなった悪党仲間の協力で、スミスの住所を聞き出し、問いつめるとその通りだったが理由は例の銀行強盗の帰りに母をおそったから・・・・。
もう一人の相棒を殺すまで待ってくれと言う犯人をふんじばる・・・・。

殺人の手法は、ロドニーに盗癖があることを見破り、キャビネットに毒入りのウイスキーボトルを入れておくというもの。
期待通り、犯人は盗み出して、飲んで死ぬわけだが、これはいったい犯罪になるのだろうか。
筋は平凡、と思うが、ホン・コンおばさんのキャラクターが非常に面白い作品。

・彼が盗んでいなければ今だって生きてたはずです。(184P)
・犯罪者に同情するって話は掃いて捨てるほどあるのに、そいつらが犯した犠牲者の命はどうだって言うんです?犠牲者に同情する署名運動なんて聞いたことがありますか?。ゼロです。社会にとっては、犠牲者なんかさっさと忘れてしまった方がいい残骸にすぎないんです。(186P)
・このへまを後々まで悔しがった。そして依頼、今日できる悪事を明日に延ばすな、と言うのが彼の座右銘になったのだ。(195P)