帽子収集狂事件    デイクスン・カー

創元推理文庫 THE MAD HATTER MYSTERY 田中 西次郎 訳

ロンドン塔逆賊門の石畳に、ウイリアム卿の甥で新聞記者のドリスコルが、鑢をかけた土産物用の鏃をさされて死んでいた。
ロンドンでは、帽子泥棒が跋扈していたが、この死体もそれを象徴するかのように、頭にシルクハットがかぶせられていた。
フェル博士、ハドリー警部等が調べると、ドリスコルは、ウイリアム卿の弟レスターの妻ローラと逢い引きをしていたらしい。
犯行当時、ローラをレスターの依頼で尾行していたラーキン夫人、ロンドン塔副長官のメースン将軍が近くにいたはずだが、霧が深くて目撃はしていない。
一方ウイリアム卿は、偶然見つけた高価なポーの未発表小説原稿がなくなったと大騒ぎ、「いや、その原稿の権利は私にあるはずだ。」と乗り込んできたアメリカの古書収集家アーパーと大喧嘩をする。
実は帽子収集狂事件は、ドリスコルのいたずら心から出てきたもの、しかし彼は価値を知らずに未発表原稿を持ち出してきてしまった。
ところが金に困っていたウイリアム卿の娘シェーラの許嫁ロバート・ダルライが、原稿を奪おうと計画、誤ってウイリアム卿宅でドリスコルを刺し殺してしまった。
彼は死体を現場に車で運び放置したのだった。
原稿の方は誤ってシェーラが、暖炉にくべてしまった・・・・。
最後に、妻ローラの逢い引きを追跡していたレスターが追求され、自殺するが、良心の呵責に絶えかねたダルライが、自白する。
全体を通して見通すと、デイクスン・カーにしてはめずらしくコメデイ・タッチに見える。

・ロンドン塔の紹介(47p)
・ソクラテスの問答法(252p)
・帽子が発明されて以来用いられてきた簡便な方法だ。すなわち中の汗止めの皮に紙をはさんだ・・・・手近な大した用もなさそうな紙おな・・・(287p)     この話しはエラリー・クイーン「ローマ帽子の謎」を思わせる。

* 霧の中の犯罪
* 偽電話による犯罪に邪魔な人間の呼び出し