豚は太るか死ぬしかない  ウオーレン・マーフィイ

ハヤカワ・ミステリ文庫 PIGS GET FAT 田村 義進 訳

休暇に出かけようとしているトレースのもとに
「多額の保険金をかけられた、不動産業者トーマス・コーリンズが行方不明になった。
保険代理店のマイケル・マブリイを助けて調査をしてほしい。」
との依頼。
私書箱あてにあった手紙から、彼が妻に内緒で農園を買っていた事が分かる。
調査に出かけると物置にコーリンズの死体。
そして2度目に行った時には、いつの間にか死体のそばにダイヤのネックレス。
調べて行くと、コーリンズはとんでもない遊び人、会社の金を使い込み、賭博と女に目がないときた。
手紙の送り主から、最初は犯人は高級娼婦のマンデイ・リースではないかと思われた。
次にコーリンズの秘書のローリー・アンダースが疑われた。
しかし彼女は
「しつこくコーリンズにせまられ、農園に連れて行かれたが、ようようにしてそこから逃げ帰った、ダイヤのネックレスはコーリンズからもらったがいつの間にかなくなった。」と主張する。
トレースは、犯人は最初はマンデイ、後にローリーに罪をなすりつけようとしたが、本当はコーリンズが死ねば遺産の転がり込むコーリンズ夫人とその愛人のマブリイ、と告発する。
ジョークがさえわたり、同時に現代を感じさせるしゃれ作品である。
翻訳小説は訳者のうまい下手が作品に影響を与えるが、これは現代感覚あふれ優れた訳文であると思う。

・いいこと。男と女では、染色体の構造が違うのよ。男はウオッカのにおいを嗅げない。女は嗅げる。ついでに言っておけば、あなたが汗をかいたときには、ロッカールームにいるようなにおいがする。(15p)
・旗竿が一本立っていた。旗は翻っていなかったが、驚くには当たらない。カリフォルニア人のことだから、どのような旗を掲げるか意見がまとまらなかったのだろう。鯨の旗か、詩の旗か、はたまたマリファナ合法化要求の旗か。ただしアメリカの国旗をかかげようという者は一人もいなかったはずだ。(54p)
・カルマを良くしてリンネがかなえば、来世はカマキリに生まれ変わって体重の10倍の餌を朝から晩まで食べ続けているに違いない。(110p)
・薬剤師になって、避妊薬をタバコに混ぜたらどうだろう。とトレースは思った。 性交した後、一服つければ、あとはなんの心配もいらない。(179p)