ハヤカワ・ミステリ文庫 CURTAIN 中村 能三 訳
人をけしかけて殺人を起こさせる行為は果たして罪になるだろうか?疑問の残るところだが、この作品では断固罪になるとしている。
舞台はスタイルズ荘、奇しくも作者が処女長編の舞台とした館である。かっての盟友ヘーステイングスは、今は車椅子の生活を送るポアロに呼ばれて、ラトレル夫妻の経営する下宿屋スタイルズ荘に赴く。
ポアロは近くで起こった無関係に見えるいくつかの殺人事件をあげ、「これらの事件はある共通の人物Xがけしかけて起こしたものだ、その人物はこの下宿屋にも来ており、さらなる殺人劇が起こる可能性が高い、それを予防してくれ。」とヘーステイングスに協力を頼む。
予測通り、夫婦中の悪く、いつも尻のしたにしかれていたラトレルは、妻を猟銃で撃って負傷させ、フランクリン博士と一緒に熱心に研究をしていたヘーステイングスの娘、ジュデイスは、フィソステイグミン中毒により、博士の妻を毒殺したらしい。さらにヘーステイングスも娘かわいさから女好きのアラートンを殺害しようとする。そして決定的な証拠らしいものを双眼鏡で見たらしいノートン、そしてその死。
さらにはこの作品ではポアロ自身が死んでしまう。真相は何ヶ月か後にポアロの遺書がでてきてわかると言う仕組み・・・・この辺は「そして誰もいなくなった」と似ている。ノートンが犯人で、彼はラトレルを、ヘーステイングスを、ジュデイスをけしかけたのだった。ポアロはそれを知り、ノートンを睡眠薬で眠らせた上、法の番人として処刑したのだった。
・殺人者は例外なく自分は誰よりも利口だと思いこんでおる。・・・誰も自分を疑うはずがない。・・・警察も全くお手上げだろうという具合である。(30p)
・「はい、全くすばらしい休暇でした!何しろ兄貴を撃ち殺したんですから」・・・・
「はい、そのとおりです。もう何年も前から、殺してやりたいと思っていたのです。」・・・・・・
「小鳥を撃つように、鮮やかに一発でしとめました。ああ!いやもうあのときは、うっとりいたしました。一生涯わすれられません。」(111p)
・アスピリン・・・「本薬は規定以上服用すると危険です。」
・「・・・いずれにしろ、死が訪れる以上、それが早かろうと遅かろうと、どうだっていいじゃありませんか。大した違いはありませんよ。」(208p)
・オセロには殺人芸術の完璧な見本がある。(255p)
* フィソステイグミン中毒
* 殺人教唆
* 遺書から事実が判明
* そして誰もいなくなった
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