創元推理文庫 WHOSE BODY? 浅羽 莢子 訳
ある朝、実直な建築家が住むフラットの浴室に、金縁の鼻目がねだけをかけた全裸の男の死体が現れる。
ちょうどその日、姿かたちの似た金融界の名士レヴィが行方不明になる。しかし同一人物では無いようだ。
どじなスコットランドヤードのサム警部は建築家とその使用人を逮捕するが、完全な間違い。
そこで貴族探偵ピーター・ウイムジイ卿の出現となる。
犯人は検死にあたった高名の医師。かれは若いときにレヴィと女を争い、破れた事をうらみ、10年来レヴィを殺そうとねらっていた。
さいわい酷似した解剖死体が手にはいったため、レヴィを殺害、解剖、埋葬する一方、夜陰にまぎれ、屋根ずたいに隣の建築家の家に忍び込み、死体を風呂場にいれたもの。
トリックは「いかに気がつかれないように風呂場にいれたか。」と言う事だが平凡。
ただし、ウイムジイ卿などの人物の書き込み、猟気的な味わいの出し方は優れている。
実際の所、女をとられたくらいで何年も経って、人を殺害するとは考えられないが、それを侮辱を受けた事と医者の冷たい科学者的性格に帰している。
* 死体の移動
* 死体の入れ替え