デッドライン         マーシー・ハイデイッシュ

ハヤカワミステリ DEADLINE  松下 祥子訳

動揺するな、涙を見せるな、が新聞記者の鉄則だがこの連続殺人事件の死体には目を背けずにはいられなかった。
被害者はいずれもホームレス救援所のホームレス、ボランテイアなどでいずれも傘を口から差し込まれて死んでいた。
事件現場に現れるジョニス・デイトが疑われるが、彼は救援所に逃げ込んだ自分の妻を捜していたのだ。
そして子供の時に分かれた医師で慈善活動家として知られる父の表彰式と、不振な行動。
父をそんな賞を受ける権利はないと非難する「スザンナハウス所長」ゾーイ・ヘイウッド。
しかし主人公ナンの記憶は、子供の時から何かと親切にしてくれたサム・ワイルの死体と遺留品の写真を見たときにあざやかに蘇る。
写真にはヴェルヴェットを着た幼い日の自分が父と馬車に乗っていた。

父はヴェルヴェットの少女を森に連れ込み、いたずらしようとしたのだ。
死んで言った人たちはいずれも父の秘密を知ったか、あるいは知っていると誤解されたかした物だった。

娘にせまられれて、父の最後に取る道は死よりなかった。
幼児虐待というアメリカ社会の一面を描いている点では非常に面白い。
文章もきびきびしており、臨場感があふれている。
ただ、犯人が父であるという点に、作者が面白くしようとしたのか、涙を狙ったのかは分からぬがやりきれなさを感じた。