ハヤカワ・ポケットミステリー DOVER TWO 尾坂 力 訳
イギリス中部カードリーという田舎町で、イザベル・サッチャーという狂信的な新教徒が、教会から帰る途中、後頭部を2発、拳銃で撃たれた。
側には犯行に使用された銃。彼女は一命は取り留めたものの意識不明となり、地元新聞紙は眠れる美女となずけたが、8ヶ月後に本当に病院で死んでしまった。
しかも枕には、何者かが彼女を窒息死させた後が・・・。
そしてあのドーヴァー主任警部とマグレガー部長刑事のお出ましとなるのだが、この巻に関するかぎり、主任警部はかなりな有能ぶりを発揮する。
独善さも他の巻ほどではなく、この程度ならよくある上司と思える。
イザベルの姉ヴァイオレットは、イザベルの婚約者で両方の現場にいたレックスが犯人、と主張するが、ドーヴァーは物理的関係からのレックスが犯人になりえないことを突き止める。
さらにヴァイオレットとイザベルが母娘関係であることを突き止め、ヴァイオレットがイザベルを捨てたレックスに復讐しようと、もう回復の見込みのなくなったイザベルを窒息死させたことを見破る。
発砲事件については、旧教支持派の少年たちの犯行とも考えられたが、アリバイが成立、ヴァイオレットのもとで発見された脅迫状にあったヴィックの名から推定した図書館長のオフィールドも、無罪と分かり、暗礁に乗り上げる。しかしどのようにして、誰にも見られることなく、犯人が現場から消えたのかを追求するうちに、牧師のボニントンが浮かんだ。ボニントンがロンドンで逮捕された結婚詐欺殺人犯の弟であることを種に、結婚を強要したために、殺すことになったと考えて、追求した。
問題は、ボニントンには殺人の勇気などありそうには見えないことだ。
しかし、ボニントンに彼女と結婚されては困る女性が別にいた・・・。
「ボニントンが犯人・・・」は途中で推定できなくもないが、なかなか面白い推理小説、最後のどんでん返しもすばらしい。
また旧教徒と新教徒の対立を扱っている点でも珍しいように思う。