創元推理文庫 THE SHAGGY DOG AND OTHER MURDERS 小西 宏 訳
本当に短編のうまい作家だと思う。気の利いたプロットとしゃれた会話が楽しませてくれる。
プロットのポイントを簡単に記する。
復讐の女神
カールは事業を始めようと自分の預金を引き出そうとしたが、銀行のトムは明日まで待て、との様子。実はトムは銀行の金を使い込んだ上、カールの妻のエルシーとできていた。カールはトムにピストルを突き付けられて殺される運命、勝ち誇ったトムがカールのウイスキーを飲むとばったり倒れてしまった。エルシーが夫を殺そうと毒を入れておいたのだ。
毛むくじゃらの犬
「我が輩は殺された男の犬なり。」の札をつけた迷い犬がやってくると、不思議に男は殺された。
キッド探偵の依頼人、事務所の所有者、そして最後はキッド探偵自身がねらわれる。
「実は印刷屋のヘンダースンは偽札作りの一味、間違えて偽の10ドル札を依頼人に渡した。依頼人は事務所の所有者に家賃として支払った。それから僕・・・・。犬ではなくて偽札の所有者が一味にねらわれたんだ。」
生命保険と火災保険
商売熱心な保険勧誘員スミス氏は3人組みのギャングのアジトを勧誘、そのままつれこまれ地下に監禁されてしまった。そこには彼らが誘拐した大金持のケスラー氏。しかし靴紐でドアを倒して仲間のひとりをくたばらせてからは順調。アジトから火災が発生して・・・。事件は解決。それでもスミス氏は保険の勧誘を止めません。
猛犬にご注意
隣の金貸しの因業じじい、殺したいが猛犬を飼っている。
飛び込めば八つ裂きは必定。
それで肉で犬を手なずけた。
見事に成功、じいさんを殺してやった。奪った金は敷地の中に埋めといた。
ところがなついた犬が地下を掘って我が家の庭に侵入、肉のにおいのついた金を地下から引きずり出した。
不良少年
おっかあは、息子が悪い仲間を運ぶべく車で出ていったので心配。
やがて警察が来て銀行が襲われ、一人だけが逃げているとの話。 出るのはため息ばかり。
しかしおばあさんは悠然「あの子の好きな硫黄糖水の中に睡眠薬を入れておいたよ。」
姿なき殺人者
見張っていたはずなのに殺人者は眼下の原を通り、殺人を犯し、逃走した。
実は犯人は寄席で道化の馬の前足と後ろ足をやっていた2人組。馬ばけて通過したのさ。
象と道化師
象はリルはじいさんが好きだった。水槽飛込み師のバレンテイは別の件で仲間を殺したが、それを象が殺したように見せかけた。象の無罪を信じるのはじいさんだけ。しかし殺される段になって象がおこってバレンテイを襲う・・・。
踊るサンドイッチ
Aは詐欺師だが、Bに復讐したかった。
そこで、女を使ってCを誘惑、前後不覚になるまで酔わせて、Cの銃を使ってBを射殺、Cに罪をなすりつけようとした。
Cの婚約者の訴えで検事が再捜査し、真相を究明するのだが、次のような推理が面白かった。
(1)酔わされた店アンシン・アンド・ヴィックを見たような感じがするが、思い出せないとする医者に、事件当日どこに行ったかを聞き出し、店をさがしだす。
(2)アンシン・アンド・ヴィックで所有者となのったのだから金は払ってないはずだ。
(3)DANCING SANDWICHからANCIN AND VICを導き出す。