創元推理文庫 INSPECTOR FRENCH'S GREATEST CASE 田中 西二郎 訳
宝石商デユーク・アンド・ピーボデイ商会の老支配人ゲシングが、夜間、金庫の前で鈍器で殴られて死んでいた。金庫からは、1000ポンドと近く商売に使う予定の大量の宝石が無くなっていた。この会社は、ほとんどデユーク社長とゲシングの二人で経営されていた。
事件は暗礁に乗り上げていたが、盗まれた宝石を扱っており、アリバイも不正確なアムステルダム支店のファンデルケンプが失踪し、盗まれた紙幣の1枚が現れた。フレンチ警部はそれを足がかりに、ファンデルベルケをバルセロナのホテルで発見。しかも盗まれた紙幣を持っていた。しかし問いつめると彼は偽の手紙で呼び出され、デユーク氏から密命を帯びて旅をしており、事件については全く知らないとのこと。
しばらくして、アメリカからの旅行者ルート夫人と名乗る女性が大量の宝石を、ウイリアムズ・アンド・デーヴィス商会で換金した。しかし、その宝石は盗まれたもの、しかもルート夫人は偽物だった。アメリカからの乗客を調べるうち、ウオード夫人と称していた女性かと考えたがこれも偽名。
女房に相談して、犯人が「昔、女優だった女性ではないか。」と目をつけやっと、13年前に行方が分からなくなったシシー・ウインター嬢を見つけ、行方を追う。そして事件で憔悴したらしいデユーク社長の海への飛び込み自殺。死体はあがらなかったが死は確実と見られた。やっとウインター嬢の住処を見つけるが、もぬけの殻。
しかし女中の話から通っていた男がいたこと、さらに株式の売買表がでてきた。後者は実は暗号文になっており、26日の船で逃げようと言うメッセージだった。ようようにしてその船をルアーブルで見つけだすが、犯人らしい男女は下船して逃げたらしい。しかし「乗っているはずだ。」との見張りの証言から、フレンチ警部は寄港先オポルトに列車で向かい、再度船に乗り込む。そしてブラジル人夫婦に化けていた犯人を逮捕。犯人はあっと驚くカップル!浮気カップルが金に困り、自分の会社の金と宝石を引き出し、罪を他人にかぶせようとしたものだった。もちろん、フレンチ警部のこれでもか、これでもかと執拗な追跡が魅力の作品。
* 自分の会社の金を持ち逃げ
* 女優の利用
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