創元推理文庫 MURDER AT SCHOOL(Was It Murder?) 龍口 直太郎 訳
大学を出てたいしたこともせず、詩を書くくらいだったコリン・レヴェルはある時母校の校長ローズヴィアに呼ばれ、「最近ロバートという学生が、就寝中にガス灯が落ちてきて死ぬという事件があった。
事故死ということだが、どうも解せない、調査をしてほしい。」と頼まれた。
この事件は、事故で片づけたが、しばらくして、ロバートの兄のウイルブリアムが水のはっていないプールに落ちて死んでいるのが発見された。
これも事故死かと考えられたが、頭部に撃たれた後があり、他殺と判明した上、ヤードのガスリー刑事も調査に乗り出し大騒ぎとなった。二人が死んだことで莫大な遺産が舎監のエリングトンに入ることが分かり、疑いは俄然彼にかかる。
そしてランバーン教師が睡眠薬を飲みすぎて死ぬ。
調査をしているうちにコリンは、気難しい亭主を抱え、幸せそうに見えないエリングトン夫人が好きになってしまった。
その夫人が「ランバーンが私に自白したんです。彼が二人を殺したんです。」事件はこれで一件落着に見えた。
やはり、エリングトンではないか、あるいは校長はあやしくないのか、など考えている夜更け、ふと見ると銃口がコリンをねらっている。
あわてて外に出るとガスリー刑事。「巧妙に仕組んだんですがね。もう犯人はこの寮に閉じ込めましたから・・・。」追いつめると最後にエリングトン夫人が見つかった。
夫人は校長がすきになった。
ロバーとの事件は事故、しかしウイルブリアムを深夜飛び込み台に誘って射殺し、その罪を夫になすりつけようとした。
それがだめとわかるとランバーンに「犯人は自分である。」と白状し、心中をすると見せかけて殺し、幕引きにしようとした。
文学青年コリンの青臭さと強さが非常によく描け、キャンパス生活の様子とともにこの作品の魅力になっている。
これで終わりかな、冗長だなと思わせながら最後まで引っ張ってゆき、どんでん返しを食わせている作者の計算はたいした物と思った。探偵役が恋した女性が犯人だったというパターンは「トレント最後の事件」「裁くのはおれだ。」などに見られる。
・人を殺したやつの目に、自分が世間のやからより上手だと映ったら最後、 自分の気に食わぬやつを片づけるため、
人間を殺すくらい朝飯前だと思うようになるもんだよ。(106p)
・ヴェロナールの飲みすぎ(189p)