創元推理文庫 THE MOONSTONE 中村 能三 訳
インド寺院の秘宝、月長石と言われる黄色いダイヤモンドはジョン・ハーンカ
スル卿の手によってイギリスに渡って来た。そしてそれは遺言により姪のレイチ
ェルに送られる。
1848年のあるパーテイの夜、彼女はそれを胸につけて得意顔で出席したが、
その夜忽然として彼女の部屋から消えてしまう。そしてダイヤモンドをねらう不
思議なバラモン教徒のインド人3人組。
調査を依頼されたカッフ部長刑事は、レイチェルが金に困って自分で隠し、ロ
ンドンの宝石商に質入れしたとの推定を下すが、家の名誉を重んじた母のジュリ
アは、それ以上の調査を禁じる。
1年の間にレイチェルをめぐって、エーブルホワイトとフランクリンの間で恋 の鞘当てが起こるが、エーブルホワイトの結婚目的が、金であることがわかり、
破談となる。
しかしレイチェルは、フランクリンと結婚することにしたわけでは なかった。なぜなら、彼女はフランクリンが月長石を彼女の部屋から持ち出すと
ころを見たのだから・・・。
しかしこの疑いは、キャンデイ主治医の助手エズラが提案した実験により、フ
ランクリンが意識なく、夢遊病のような状態で持ち出した事が判明、そして彼か
らダイヤモンドを奪い、ロンドンで金に換えたのは、二重生活を送っていたエー
ブルホワイトであった。
そしてエーブルホワイトの死。
犯人は例の3人組で、彼らはエズラやカッフ刑事の追求を振り切って、インド にダイヤモンドを持ち帰ってしまった。
冒険家マースウエイトの見たところによ れば、盛大な月長石帰還を祝う儀式が行われた。
推理小説のごく出始めの頃の名作。
やや推理としては物足りない面もあるが、 物語として見ると非常に面白い。