逆襲             ジョイス・ポーター

ハヤカワ・ポケット・ミステリー DOVER STRIKES AGAIN 乾 信一郎訳

岡の上の小さなサリー・マーチン村は地震の夜があけると家屋が倒壊し、道路は寸断され惨憺たる状態。
しかも地滑りの土砂の中から発見された死者の一人チャントリーが実は絞殺されているとわかって大騒ぎ。
そして悪名高いドーヴァー警部とマグレガー刑事がロンドンからやってくる。
しかし町に居酒屋はなく、滞在したたった一件の安ホテルには意地悪婆さん、占いきちがいの婆さん、ボケ老人、偏屈な退役空軍中佐と知恵遅れの娘、ヒッピーと気に入らぬ奴ばかりと会って警部の機嫌は悪い。
すっかりやる気をなくし、マグレガー刑事に仕事をまかせ、安楽椅子探偵をきめこんでいると、第二の殺人。
夜中のうるささで警部と張り合っていたボイル夫人が2階の階段おりくちに仕掛けられた紐につまずき、転落、死亡してしまった。
警部は村の警察署長と犯人はこの辺だろうと退役空軍中佐を尋問。
尋問と言うよりも
「自白証書に署名しろ。署名しないとおまえがやったと訴えるが、そうするとおまえと娘はいられなくなるぞ。」
と「証拠があるのか。」の反証にも答えず、脅し文句の連続。
悲観した中佐は「署名する」と宣言した上、抜けだし娘と自殺をしてしまう・・・・。

ポーターのパンチの効いた会話と警部の自己本位ぶりは楽しめるものの、私はちょっと失望した。
ドーヴァーシリーズの持ち味はあかるさとにやっと笑わせる事件の進行にあると思うが、この作品の場合
(1)犯人追及に論理性がない。
(2)エンデイングが暗く、ほのぼのとした気分になれない。
などで、同じ作者の「切断」「案外まともな犯罪」等に比べて劣るように思った。