ハーヴァードの女探偵      アマンダ・クロス

ハーヴァード大学は、古来女性の教授をほとんど迎えていない。
ところがたまたまその一人であるジャネット・マンデルバウムが、パーテイで酔っぱらい、気がついたときには、浴槽の中に見知らぬ女性と一緒にいたところを発見された。
大学院時代、ジャネットの知り合いだったケイト・ファンスラーは、男性社会のハーヴァードに乗り込み、調査を始める。
しかし、ある日、ジャネットは、男子トイレで死んでいた。
死因は青酸中毒だった。
これが事件の概要だが、バスタブ事件は男友達が、いたずらにジャネットの飲み物にウオッカを入れた事が原因で、ジャネットはもともと睡眠薬を常用していて酒に弱かったためにひっくり返ってしまった。
他の学生が別に酔っぱらった女性がいたので、二人を浴槽にいれたといういたずら。
後半の事件は、友人関係に悩んだジャネットが青酸カリ自殺を図ったが、それが学長室だったため、学長が後難をおそれて男子用トイレに運んだというものであっけない解決になっている。
ただこの小説は、ハーヴァードという男社会の中で、フェミニズム運動をどう考えるかという問題提起の書であるとすれば、別の見方が出来るのかも知れない。
ただ結論がはっきり出ているわけではない。

・でも学内の女性はみんな、学生も助教授も理事も、私は何らかの女性の主義主張に加わるべきだと思っているみたいなのよ。・・・・まるで世界には女という一つの性しか無いみたい。何で男性よりも女性に興味を持たなければいけないの?。私が興味を持っているのは、尊敬すべき17世紀研究の学者たちなのよ。性別には関係ないわ。(75p)
・美しくない女は、人生のいいスタートが切れるんじゃないかしら。彼女たちは規則を知っているし、ゲームがどんなものかも知っている。男たちがみんな孔雀のようにきれいな娘の周りに集まる若い頃の苦しみ、そして、自己満足を味わったことのないこと、それが後の人生では報われることになるのよ。(196p)
・男って言うのはいつも女を殺すことを本に書いているのよ。彼らが好むファンタジーのひとつなのね。つまり、特権を奪われたことに対する復讐ね。性的特権、政治的・社会的特権・・・(198p)
・「この国の道路は、騒々しさを極めている。共産主義はこの国を破壊しようとしている。ロシアは全力をあげて我々を脅かしている。 共和国は今危機に瀕している。そう、内からの危機と外からの危機に。 我々が必要としているのは法と秩序だ。 法と秩序なしに、この国は存続することは出来ないのだ。」激しい拍手喝采がわき起こった。 「これは、アドルフ・ヒットラーが1932年に言った言葉です。」 その後の生じた沈黙を・・・(294p)