伯爵夫人のジルバ     ウオーレン・マーフィー

ハヤカワ・ミステリ文庫 AND 47 MILES OF ROPE 田村 義進 訳

二つの意志ををもつ犯罪が同時に進行したらどうなるかがテーマ。
宝石窃盗団の二人は盗んで得た真の宝石を隠し、模造品を金庫に保管し、盗まれた様に見せかけ、保険金を詐取しようとする。
一方、宝石窃盗団を密かに追求している男は金庫の中の宝石を調べ、盗品だったら取り返してやろうと考える。
同時に起こったらどうなるか。
ラスベガスの郊外、怪しげな人物のたむろする伯爵夫人宅で留守中、旅行から戻った執事が頭を殴られて殺され、宝石が無くなった。
執事が伯爵夫人を受取人とした保険にはいっていたため、トレースは元警官の父と調査に乗り出す。
ポルノ女優や得体の知れぬプレーボーイ、やけにセクシーな伯爵夫人に悩まされる。
執事は偽パスポートで入国しており、金庫の模造品を盗んで消える予定だった。
一方秘密探偵でプレイボーイの召使いウイリーは、伯爵夫人邸の留守番の使用人を空港に呼びだし、わずかなすきに邸内に侵入、金庫をあけようとした。
そこに外国にいるはずの執事が偽の宝石を盗み出すために密かに到着、争いとなり、ウイリーは執事を殴って逃走する。
しばらくして意識を回復した執事は金庫の中の宝石が偽と分かっては大変と取り出して、パスポートと一緒に池の中に捨てた。その際、柱に頭をぶつけて死んでしまったというもの。
別に私立探偵殺しがでるがこれは全くの別件で筋を複雑にしている。

しかしこのようなストーリーよりも全文にあふれるギャグが面白い。
日本訳ではニュアンスが伝わりにくいと考えるのだが、それでもこれだけ笑わせる・・・・大した作品である。

・「私は昨日コーヒーを作った。確か朝食も作ったはずよ。」  
「そうだ。一昨日は?」  
「やはり私が作った。コーヒーも朝食も。」  
「それでいいんだ。めいめい能力に応じて、必要に応じて。俺はコーヒーを飲みたい。こ れが俺の必要だ。君はうまいコーヒーを作れる。これが君の能力だ。だから君はコーヒー をつくる。」
「ベッドからでたくないので、いいわけにマルクス主義を利用する人がいる?」
「マルクス主義は何にでも当てはまる。マルクス主義は番人が泳げる広大な海だ」
「わかったわ。でも、あなたの能力は何なの。」(241p)