角川文庫 HAMMETT 稲葉 明雄 訳
「マルタの鷹」「血の収穫」などの作者、ダシル・ハメットは作家になる以前、サンフランススコの探偵会社ピンカートンに勤めていた。
しかしその間の彼の生活については不明の部分が多い。
これはゴアズがそのころの生活をベースに創作した小説。
禁酒法時代のサンフランシスコは、闇酒場とならず者が幅をきかし、腐敗仕切っていた。
そんな町の市政浄化のために、調査を始めた旧友アトキンスンが、抱水クロラールで眠らされた上、頭をグジャグジャにして殺された。
ハメットは浄化委員会の依頼を受けて、元ピンカートンの凄腕探偵ジミー・ライトと共に、旧友殺しの犯人を追う。
市長の特別秘書オーウエン・リンチとサンフランシスコ市警のラヴァテイが全面的に援助を約束。
重要な目撃者の中国人娘クリスタル・タムと娼家の女将モリー・ファーが消えた。
モリー・ファーは暗黒街の黒幕マリガンの依頼で隠されていたが見つかり、証言をする。
クリスタル・タムは人身売買の元締め、ヘロイーズ・クイン母子の元にいたが、助けだされる。
しかしクリスタル・タムやモリー・ファーの証言から闇酒場のドミニク・ブロンジーニ一派を犯人と断定した、ハメットは、東部からの助っ人を入れて彼等を処分する。
その後クイン母子は、何者かに惨殺される。
しかもクリスタル・タムが、再び誘拐され、墓場で殺される。
やけ酒を飲んでいたハメットは、リンチとラヴァテイに連れ出される。
「ハメットは東部から助っ人を入れ、町を乗っ取ろうとしている」というのだ。
二人に殺されそうになったハメットはリンチの不振な行動を追求、ついに「一連の殺人の犯人が変態趣味のリンチで証拠隠滅をねらった物だった。自分はそれに踊らされていただけだ。」と知った。
ラヴァテイはリンチを殺し、自殺する。 ハメットが呆然としていると、物陰からクリスタル・タムが表れる。
墓場で死んだのは売られてきた中国女性で身代わりだった!。
リンチに中国娘を世話し、犯罪に走らせ、最後は男たち同士を戦わせていたのは実はこのクリスタル・タムだった。