ハヤカワ・ポケット・ミステリ FLOWERS TO THE JUDGE 鈴木 幸夫
バーナバス書房は、ジョン・ウイドスンを長とする一族会社。
社長の甥でアメリカから美人の妻、ジーナを連れ帰ったものの、陰の薄いポールが、突然消えてしまった。この事件は15年前に甥のトムが消えた事件を思い出させた。
しばらくしてポールは、地下の金庫室で、一酸化炭素中毒で死んでいるのが発見された。駐車場にあった車の排気ガスが、ゴムホースで引き込まれていた。
嫌疑は、死体発見の少し前に資料を取りに地下室に行き、しかも車の所有者であったマイケルに向けられれた。
マイケルは、ポールの妻のジーナと良い仲と噂されていたこともあって、検屍審問では有罪となった。
社長が、法曹界の重鎮で息子のバーナバスをたて、弁護に当たらせ、無罪を獲得する。一方、素人探偵のキャンピオンは、ジーナの要請で、調査を行い、犯人は社長以外にあり得ないことを突き止める。
社長は風呂場で排気口に布きれをつっこみ、不完全燃焼させて自殺する。
マイケルとジーナは結ばれ、プロヴァンスへ旅に出るが、街道沿いのサーカスの一団の中に15年前にいなくなったポールを見つける。
文学性の高い作品、とのふれこみだが、殺人の動機および社長の行動形態に対する説明が今一歩でそれほどとは思わなかった。また、訳文もこなれていないように思う。
自動車の排気ガスによる殺人、ガスの不完全燃焼による自殺等は面白かった。
しかし最初の消失を「軽業師になるくらいだから、身は軽かったのでしょう。塀を飛び越えたのですよ。」にはちょっとがっかりした。
・人間消失・排気ガス殺人・ガスの不完全燃焼