ホッグ連続殺人        ウイリアム・L・デアンドリア


ハヤカワ・ミステリ文庫  THE HOG MURDERS 真崎 義博 訳

あるものを殺したいために、別のルールに従っていくつかの殺人を行い、捜査陣を攪乱させるやり方は、クリステイのABC殺人事件などに見られる。
この書はその裏をかき、偶発的に起こった事故を、あたかも連続殺人犯が犯したように見せかけ、目的の殺人を行うものである。
追いつめられると実在する人間が犯人であるように捜査を誘導しようとしている。
新聞記者のビューアルは、雪の日、前の車に工事中の看板が落ち、二人が死に、一人が重傷を負うという事故を目撃した。
そして彼は「あれは事故ではない。私が殺した。」よいう内容の手紙をHOGなる者から受け取る。
一人暮らしの老人ワトソンが崖から墜落死するが、「ちょっとおしただけさ。」とまたもHOGの殺人を示唆する手紙。
子供が大きなつららが落ちてきて、またHOGの手紙。
殺人心理の専門家ベイネテイッテイ教授、愛弟子のロン、精神科医のヒギンズ、ビューアル、等が事件の解明に挑む。
なかでも教授の絵を描きながらの取り組みが面白い。
大学院生のレスリイが、ヘロイン中毒で死に、友人のウイルバーが姿を消し、彼がHOGらしい証拠がいくつか出てくる。
掃除夫がフルーツポンチの缶詰の下敷きになって死ぬ。小学生が商店街に放火し、数人が死亡。
いずれもHOGの殺人ではないかと考えられる。悪事で有名な元保安官補ジャストロウが撃ち殺されているのが見つかるが、死体の状態から殺害されたと分かる。
そしてHOGの手紙。
しかし教授はウイルバーが山の中に逃げ込んだと推理し、凍死体となった彼を見つける。
そして麻薬販売の元締めを逮捕する。さらにビューアルの裕福な伯父が死の直前で、彼が遺書を残さずに死ねば莫大な財産を受領する、しかし婚約者が黒人であることがばれるとその権利を失うという事実を発見。それを知ったジャストロウが彼を脅していたことを知る。 殺人の目的はビューアルのジャストロー殺しだった。
彼はそれを実在しないHOGの連続殺人に見せかけ、さらにウイルバーをHOGに仕立てようとした。  

・教授の推理技術・・・分析と推理
(1)小説の最終章を相手にするのだ。つまり、現在のありのままの状況おな。
(2)いろいろな事実をつかんでいる。これは、事件を調べるうち自ずと明らかになることもある。
(3)小説の最初の部分を考える。「誰それが被害者殺害を決意した」という文を作って、 「誰それ」の部分に関わりのある人間の名前を順にあてはめてゆけばいい。 それから、小説の中間部分を作る。(25P)