ハヤカワ・ミステリ文庫 DEATH OF JEZEBEL 恩地 三保子 訳
ロンドンで、第二次世界大戦帰還軍人たちによるアトラクション劇が始まろうとしていた。
しかし出演者の内、男に寄生して暮らす中年女ジェゼベル、役者のアール、3年前にマレーで自殺した青年将校ジョニイの恋人だったパーペチュアの3人が事前に脅迫状をもらっていた。
木製の城壁で囲まれた控え室と、アーチを境に接する半円形の舞台に、左右4頭づつ、アーチ前には3頭の西洋鎧に身を固めた騎士が並び、人々は熱狂した。
スポットライトをあびて、アーチ上のバルコニーに、主役のジェゼベルがよろよろと現れ、そのまま転落した。彼女は絞殺されていた。
控え室には予備の西洋鎧1個とがらくたがあるのみで、人影はない。
どのようにして殺人が行われたのか。
そしてアールとパーペチュアの失踪、監禁されたパーペチュアの発見、おびえる彼女のもとに届けられたアールの首、牧場で発見された胴体・・・・。
ケント州警察警部のコックリル、ヤードから派遣されたチャールズワースの二人も頭を抱えてしまう。
馬から立ち上がった騎士が紐で引っかけて被害者を引き寄せ、首を絞めたと一時は考えられ、「それが自分だ。」と名乗るものが4人も出るところはまさに喜劇。
結局、スマトラ帰りのブライアン・ブライアンがジョニイーの敵を取ろうと、偽名で参加し、二人を殺したものだった。
控え室に隠れていた犯人がジェゼベルを襲い、死体をバルコニーから投げた。
正面の空の西洋鎧を乗せた馬が驚き、飛び跳ねる。
紐を使ってアーチから控え室に手早く導きいれる。
西洋鎧を着た犯人が乗り、からの方は立てかけておく。
再びアーチから出て、馬を下り、慌てた様子で被害者に駆け寄るというもの。
パズルとしては面白い作品であるが現実味や人物の書き込みは弱い気がする。しかし空の西洋鎧の奥には青い目が見えたが、アールの首だけそこに入れておいたものだ、などというアイデアは凄みがある。
・長いこと抑制されていた真実を人々から引き出すのには、たっぷり言いあらそいをさせることが一番なのだ。むき出された神経はいらだち、古傷はあらたに血をふきだす。(192P)
・みんな、ジョニイ・ワイズの双生児が男だときめこんでいるんでしょう?(245P)