警察署長(上、下)         スチュアート・ウッズ

ハヤカワ文庫 CHIEFS  真野 昭裕 訳

1920年、アトランタ近くの小さな町デラノでは、警察署を作ることにした。
署長候補にはウイル・ヘンリーとフォクシーがいたが、人柄を買われて前者が選ばれた。
ウイル・ヘンリーは農場を経営していたが、不振が予想されたため、小作農のジェシー等を解雇し、家をたたんで町に出て来た。
デラノ警察は建物から作るというのんびりした警察だったが、崖下で若者の死体が発見されて事態は一変した。
若者は椅子に縛り付けられ、暴行された後があった。
やがて第二の射殺死体、調べてみると何人かの若者がその近辺で行方不明になっていることが分かった。
ウイルはフォクシーが怪しいと踏み込むが射殺されてしまう。
フォクシーは罪を上手にその場にいた黒人になすりつけ罪を問われない。
第二部は1946年頃サニー・バッツ署長時代。彼はぼんくらの人種差別主義者だった。
おりから町では戦線から帰った黒人が次第に力を増していた。
彼は言い合いになった自動車修理業者マーシャルを言いがかりをつけて捕らえ拷問し、殺してしまう。
良識派の銀行頭取ヒュー・ホームズ等に追いつめられた彼は名誉挽回をはかる。
行方を消した若者たちの中央にフォクシーがいた。
踏み込み、そして大量殺人の証拠を見つけたが、フォクシーに射殺され、埋められ、失踪として処理された。
第三部は1962年、黒人署長タッカー・ワッツの時代である。
ワッツはウイル・ヘンリーの息子で今はジョージア州副知事ビリー・リーやホームズ等の支持を受けていた。
副大統領候補をねらうビリーが彼を推挙したことが、どう選挙民に判断されるか微妙な所だった。
マリンズを中心とする反対派の郡保安官スキーターは因縁をつけ、ワッツを勾留するが、釈放される。
ワッツは最後に大量殺人犯フォクシーをFBIの協力を得て倒すことに成功する。
おりからビリーの勝利が伝えられる。
   
大河小説の中に推理を織り込んだと言った趣であり、このような書き方もあるのかと驚いた。
逆に大河小説として見ると推理部分をいれたことにより、しまっていることに気がつく。
南部の人種問題を長い期間に渡って捕らえており、雄弁な語り口とあわせて、非常に面白い作品になっている。