消された時間         ビル・S・バリンジャー

ハヤカワ・ミステリ文庫  THE LONGEST SECOND  仁賀 克雄 訳


参照 筒井康隆「ロートレック荘殺人事件」。
純粋に理論的に読者を欺くことを意図した作品。
ニューヨークのマンハッタン近く、午前3時、男は喉を切られて、瀕死の重傷で放り出されていた。
男は衣服を剥ぎ取られ、靴と1000ドル札1枚だけを所持していた。幸い男はその家の女主人に助けられ、病院で手当を受けるが記憶を全く喪失していた。
ところが次章になると、男は全く同じ時刻、全く同じ場所に同じ状態で死んでいた。
警察は身元調査を開始する。
記憶を喪失した男は、女主人ビアンカの元で銀細工の手伝いをする傍ら、自分の過去を探し始める。男は不思議にアラビア語を覚えていた。
警察の調べでパシフィックと言う名で、第二次大戦に参加した事が分かるが、それ以上の記憶がない。
そのうちに同居していたモデルのローズマリーが失跡、鍵を残して行く。
アラビア語で「殺す」と書いた脅迫状。自分に大金の口座があるらしいと病院で同室だった男に頼んで調べて貰うが、男は殺されてしまう。
ようやく探し当てたローズマリーも殺されていた。 何が起こっているのか。口座をようやく探し当て、大金を獲得し、おってきた運送会社社員アマールとの対決に勝ち、男は自分が生前ウエインライトと名乗っていたことを発見。
事務所調査等で第二次大戦後、ナチスのかくし金を元にパレスチナ支援の世界組織が作られ、中東戦争を支援したが、自分がニューヨーク支店の総帥だったこと、そしてその金を着服し、上部から狙われていたことを知る。
男は元ナチス将校ホルストマン、パシフィック、ウエインライトは偽名だった。
着服した金は500万ドルだったが、男が知っているのは100万ドルだけ。しかし女主人ビアンカが捕らえられ、男は助けに出頭する。
1年後同じ時刻、同じ場所に、男は同じ状態で放り出された、というもの。


・純粋な銀なんてないわよ。どれも純銀1キログラムに銅を七十五グラムまぜているの。(57P)
・返信用ハガキトリック(88P)
・FBIだけが使用を許可されていたロックエイドと言う鍵開け器。(107P)
・貸金庫ニュース(114P)
・ステンドグラス(156P)
・銀行引受手形(186P)
・窓の外に隠す(192P)