消えた女           マイケル・Z・リュウイン

ハヤカワ・ミステリ文庫 MISSING WOMAN 石田 善彦 訳

夜勤刑事にも出てきた、例によって家賃すら払う金のないサムスン探偵が主人公。
エリザベスと名乗る女性から、大学の職員フランクと結婚した友人のプリシラと、連絡が取れない、探して欲しいとの依頼を受ける。
プリシラとプレーボーイで画廊経営者のビリー・ボイドが、同じ日に行方不明になっていることが分かる。
ビリーは少し前に母親が不振の死を遂げ、広大な土地を相続し、開発を考えているようだった。
しかしその土地は、弁護士のデヴィットを中心とする自然保護団体が開発阻止のために確保しようとしていたところでもあった。
エリザベスからは調査打ち切りの連絡があり、サムスンは忘れていた。
ところが数ヶ月後、ビリーの死体が件の土地で発見され大騒ぎになった。
そして疑いはフランクに向けられた。
興味を持ったサムスンが、パウダー警部補等と再調査を行うと、調査に来たエリザベスは、実はプリシラ本人で、夫から逃げ出し別の大学で再出発をはかったが、自分の捜査がどの程度進んでいるかチェックしたものだった。
すると誰かが、ビリーをプリシラが失踪した日に殺し、あたかも二人で駆け落ちしたように見せかけた事になる。サムスンが、デヴィットの秘書ベテイの元に行くと、彼女はビリーを殺したのは私だと銃口を向ける。
そこにデヴィットが飛び込んできて・・・・。
ビリー殺しは、自然保護のために土地が必要と考えたデヴィットの犯行だった。

面白い小説である。文章がきびきびしていて、登場する人物像もすっきりと描かれている。謎が次々に登場し、飽きさせない。自分自身を捜査させると言う発想も挙をついている。

・(自然保護のために殺人を犯す行為について)「きみのやっていることは主義というものの悪用だ。」(367p)