ハヤカワ・ミステリ FAST COMPANY 中桐 雅夫 訳
とかくいかがわしい噂の絶えない古書商エイブ・セリグがダンテの大理石像で殴り殺された。顧客を横取りされたドッグ・ドーラン、盗品に巧妙な細工を加えてセリグに流していた弁護士パナーマンと古書改ざん専門家フィーラー等、が疑われるが、警察は元従業員のネッド・モーガンに的を絞っていた。
彼は、預かっていた2年前、古書を盗んだ疑いで刑務所に入れられ、出てきたばかり。
しかし業界に強いジョエル・グラスは、セリグが保険金ほしさでとモーガンと娘の結婚に反対するため、自分で自分の本を盗んだと考え、捜査に乗り出す。やがてエイブの秘書ジュリア・ソーンの告白から隠されていた古書が発見される。犯人は気の弱いフィーラーを殺害して、逃走する一方、ジョエルの商売敵ジェイク・ダービンを使ってジョエルを捕らえる。しかし最後に脱出したジョエルの証言で、逮捕される。
セリグ殺しについてジョエルは、一度は恋に落ちたジュリアを「君はセリグ等の悪事の片棒をかついでいたが、争いになり彼を殺した。罪を最初はモーガンに、さらにフィーラーに転嫁しようとした。」と告発する。
古書業界という珍しい分野を描いた犯人追跡劇。洒落た、軽妙な会話が魅力である。
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