興奮 デイック・フランシス
ハヤカワ・ミステリ文庫 FOR KICKS 菊池 光 訳
イギリスの障害レースで大穴が続いた。
最後の直線になってある馬が突然スパートするのだ。
状況からして、明らかに興奮剤が与えられていたが、勝ち馬から薬物は検出されなかった。
協会幹部オクトーバー郷等の要請で、はるばるオーストラリアから種馬牧場を経営しているダニエル・ロークが調査に乗り出す。
調査を行ううち、大穴をだした馬の多くが、短期間ではあるがハンパー牧場に在籍していたことが分かり、厩務員として潜り込む。
厳しい労働条件に耐えながら、彼は、ハンパーと馬主のアダムズが組んで、馬に人にはほとんど聞こえない犬笛の音を恐怖体験と共にすり込んでいる事実を突き止めた。
最後の直線にかかったとき、犬笛を吹くと、馬は恐怖心にあおられ、一気にゴールにむかって突っ走るのである。
最後に恐怖体験すりこみ現場を望遠鏡で確認したとき、オクトーバー卿の娘が登場し、ロークと悪党どもの争いとなるが・・・・。
作者の競馬シリーズはこれで4作を読んだが、この作品が一番まとまっているように思った。
・(馬を走らせないようにした証拠)
「・・・パドックを出たところを、酸をひっかけて出場不能にした。」
「・・・麻酔剤を飲ませすぎたら、翌朝馬房の中で死んでいた。」
「・・・糞の中からゴムバンドが7本出てきた。」
「・・・薬をかませすぎたら、最初の障害も飛ばねえんだ、目が見えなくなったんだ、目くらにな」
「・・・レースの三十分前に、大きなバケツに一杯水を飲ませたんだ。腹の中で水がダブダブしてて、ヤクなんか必要ねえんだ。」
「・・・ウイスキーを瓶の半分くらいのどにながしこんだんだ。」
・・・・・・(84P)
・恐怖は副腎線を強く刺激し血中に多量のアドレナリンを送り込む(275p)
・ジン・アンド・カンパリの中に入れた一サジか二サジの可溶性フェノバービドンは充分に人を殺せる。(313p)