ハヤカワ・ミステリ文庫 THE MURDER OF THE MAHARAJAH 真野 明裕 訳
1930年代、インドのボーポール藩王国宮殿でダムの竣工記念パーテイが開かれ、12人の客人が集合した。
出席者は、息子のラージクマール、ラム・シン大尉、宰相アクタール、総督代理アーサー、ダムを建設したアメリカ人ジョー・ロイド、その母と妹、王様の狩猟場となっている池をつぶして亜鉛採掘をと勧めるアメリカ実業家モートン等々。
席上、王様のエイプリル・フールが公開される。
30年に1度、出来るというサプラの木のこぶは、貴重品で、柔らかいが水に浸けると鉄のように硬くなる。
前日アーサーの息子マイケルを呼んで、お茶を飲む間、乗ってきた自動車の排気管にサプラをつめて水で濡らしておいた。
マイケルが車で帰ろうとすると、バン、バン、バンと大きな音がしてさ・・・・。
人々は大笑いした。それから突然、第二王子ラグビールが、プトマイン中毒で死んだことが知らされた。そして翌日の狩猟で王様の撃った銃が暴発して王様が亡くなった。
銃身にはあのサプラがつめられていた。誰がやったのか。この謎に担当地区警視のハワードが、マハーラージャお抱え教師の援助を受けながら挑む。
サプラを手に入れられたのは誰か、犯行は王様がマイケルに行ったいたずらにヒントを得たに違いない、ならばそれを知っていたのは誰か・・・・そんな観点から調査が進められる。
王様とラージクマールは、元コーラスガールの女をお后にするかどうかでもめていた、ラム・シン大尉は反乱軍との調整がうまく行かなかった、アクタールは、政策面で王様とぶつかってばかりいた、ジョーは、完成したダムの使い方で、王様と対立していた、モートンは、アメリカからはるばる来たものの、事業の話しをエイプリルフールの種にされただけだった・・・・。
最後にひらめいたハワードは、パーテイを再現する。ラム・シン大尉が風呂場に忘れたサプラを取ったのはモートンだ、と指摘する。
のんびりとして、どこかずれた感じのボーポール藩王国の様子が良く描かれている。
パーテイに参加する人々の様子を最初に書き、話しを分かりやすくしている点、最後にパーテイを再現して見せそこから犯人を浮かび上がらせる点、などはオーソドックスなやり方である。
犯行トリックはそれほどではないが、異国情緒のたっぷり楽しめる、楽しい作品と言えようか。
・さて、これらはジャングルの掟、そはいと数多あり。されど肝心要、眼目は服従の一語に尽きるべし。(31P)
・ただのプトマイン中毒死であって、毒物の投与によるものではないと、ですか?
たとえば、ダイヤモンド粉末のような?(312p)