ハヤカワ・ミステリ文庫 PLEASE PASS THE GUILT 山本 博 訳
例の巨漢で蘭の栽培が趣味のネオ・ウルフが探偵役、ワトソン役が助手のグッドウイン、やられ役がクレイマー警部という布陣は「毒蛇」等と同じ。
原題の PLEASE PASS THE GUILTは本来なら「有罪を宣告してください。」(228p)と訳すべき作品。
隣人のドクター・ヴォルマーから頼まれた患者?は、名を明かさず、
「手が血まみれになる。他の人にはそれが見えないのだが・・・・。」
と訴える。
ウルフが、無理矢理彼の名を聞き出し、調査するとある航空会社の補佐主任のケネス・ミーア。
ミーアの上司は、副社長候補のブラウニング。ところが少し前にブラウニングの部屋にいた同じ副社長候補ピーター・オーデルが、ブラウニングの机の引き出しを開けたところ突然爆発、死亡するという事件があった。
捜査は、犯人が二人のうちどちらをねらったかすらはっきりせず、進展していなかった。
ピーターの妻が駆け込んできて
「夫がブラウニング氏の机を開けたのは、彼のウイスキーにLSDを混入させ、取締役会で彼を狂わせるためだった。
警察は、すでにLSDを押収している。 爆薬を仕掛けたのは氏だ。それを証拠立てて欲しい。」
と訴えるが、証拠がない。
関係者を全員呼び集めての会議、フォローなどによって、ウルフはブラウニング氏は秘書のリューゴスと良い仲だったが彼女はミーアとも親しかった事を発見。
さらに社長のアボット、ミーアの競争相手コーブス等との関係がはっきりし、事件の核心に迫って行く。
結局、警察がLSDを押収している事実がどこから漏れているかをつめ、ミーアが犯人と断定。
罠を仕掛けて彼を呼び出す・・・。
アメリカの私立探偵事務所物であるが故に、どこから金をとるかを常に考えている。
ウルフが事件を解明した点は、状況証拠だけであるが、それを罠によって証明するスタイルにしている。
よくあるやり方だが物足りない。
爆発物の特性、製造元、その時間の各人の動きなど、もう少しついて欲しい気がする。
・セックスが窓から入ってくると、理屈はドアから出ていってしまう。(32p)