創元推理文庫 MOSTLY MURDER 中村保男 訳
笑う肉屋
雪原の真ん中で、人が死んでおり、その男と犯人らしい男の足跡が片道だけ、雪の跡に残されていると言う話。男は雪の中を行き、心臓麻痺で倒れたのだが、背負われていた小人が犯人にしたい男の靴を後ろ前に履いて戻ってきた。
世界がおしまいになった夜
酒場でバーテンとブンヤが隅の酒浸りの男に「世界がもうすぐおしまいになる。」と吹き込む。吹き込まれた男はそれを信じて、二人を殺すことに・・・。
叫べ、沈黙よ
音には「媒体の一定距離内での振動」と「かような振動が耳に及ぼす効果」の二つの意味がある。私の妹を殺した男はつんぼを装った。私は彼の犯罪を声高に叫び続ける・・・・。
闇の女
女が賄い付きの下宿を借りるが、電気もつけずに一日いるばかり。近くで二人組の銀行強盗事件がおき、唯一の目撃者の女性と犯人が一人不明。下宿の女性が危険を感じている目撃者で、ある日警官のふりをして訪ねてきた男が逃走中の犯人。危機一髪!!
キャサリン、お前の喉をもう一度
気がついてみるとおれは妻にナイフで斬りつけ、重傷を負わせた犯人。しかし、記憶が・・・・思い出したぞ。妻は放蕩の弟と、楽器に夢中で家庭をかえりみない私に、悩んでいた。妻は弟に殺されかかったが、意識を回復。仕事でふらふらになって戻った私の意識を失わせ、手に傷をつけ、演奏をできないようにした。夫を家庭に取り戻し、弟には恩を着せて、支配権を取り戻そうとした。
町を求む
ある街の完全支配を目論むワル。そういう男が街を探している。 君のいる街はどうだろう。一つだけ私の質問に答えてくれれば、私には見当がつく。この前の選挙の時・・・・・。何?投票所に行きもしなかったって?おあにいさん、それこそ私の探している街だ。
史上でもっとも偉大な詩
難破して無人島に流れ着いた男は詩を書きだした。しかし、それをだんだん唯の一遍にまとめようとした。助け出されてその詩を彼は叫んだのだけれど・・・・・。「その詩こそ史上でもっとも偉大な詩だよ。」と著名な先生はのたもうた。
むきにくい林檎
村に越してきたアッペル一家の息子アッペルは、何か悪さをされると、実に陰惨なやり方で復讐をする男だった。しかし、証拠を残さないから、誰も追求出来ない。レスという男が、彼と恋人を争ったが、路上に罠を仕掛けられてびっこにされ、しかもその恋人を奪われ、殺されてしまった。その後アッペルは、シカゴに出て、悪の道に走ったが、ある時突然村に戻ってきた。昔年の恨みを爆発させたレスは、彼を殴り倒した。その場はそれで収まったが、しばらくしてレスの家が放火され、双子の子供達が焼け死んだ。怒ったレスは、アッペルの本拠に飛び込み、急所に二発の銃弾を受けながら出てきた。「奴はそれほど剥きにくくはなかったよ。ただ、もっとやりたかったのに、あっけなく死んじまった。」そう言いながら死んでしまった。手から動物の皮をはぐナイフが落ちた。
自分の声
妻と子をなくし悲嘆にくれる男。その男の耳にいつも聞こえる「自殺しろ、ジョン・ケアリー!」の声。とうとう自殺してしまう。犯人は保険金をねらった共同経営者。彼は腹話術が得意だった。
まっ白な嘘
知り合って一ヶ月、ダークとギニーは大きな家を格安で購入。どうして格安?その前に妻を絞め殺し、風呂場に押し込み、石灰をいれるという事件があったから。犯人は逃走中。夫の不振な行動、ひょっとしたら殺された妻の金を探しているのでは・・・・?いや、夫が犯人?ある日警官が夫の留守に訪ねてくる。さては夫が・・・・と思ったら実はこの警官が逃走中の犯人で、金を探しに来たのだった。
ライリーの死
ライリーは生前うだつのあがらない警官だったが、祭りの最中、子供達の乗る山車に投げられた爆弾の上に身を投げ、殉職。街では英雄として扱う。実は犯人は市長をねらったのだが、弾んで山車の中に・・・あわててその上に犯人が身を投げ出し死んだのだった。しばらくして出頭したライリーを前に、街としてはどうしたものだろうか。