ハヤカワ・ミステリ文庫 MAIGRET ET LA VIEILLE DAME 日影 丈吉 訳
可愛らしい老婦人の訴えは「パーテイの後、階下に娘が、二階には私と女中のローズがいた。私はいつもの薬を飲もうとしたが、苦かったのでやめてしまった。女中が飲んだところ、砒素中毒で死んでしまった。私を殺そうとした犯人を捕まえて欲しい。」と言うもの。
しかし老婦人の住むエトルタでメグレを待ち受けていた物は、憎しみ傷つけあう老婦人の家庭。さえない医者と結婚した実の娘のアルレットは、純情と言う話しだったが、事件当夜、男を引き入れていた。先妻の子のテオは何とか老婦人と組んで財産の分け前にあずかろうとしている。そしてデイエップの金持ちの娘を嫁に貰ったシャルルは自分勝手。
結局事件は、テオが老婦人の持つエメラルドをローズを使って盗ろうとした、それに気づいた老婦人がローズを殺した、テオまでも除こうとし、自宅に呼び出したが、警戒したテオがローズの兄アンリーを先に行かせたため、老婦人は彼を殺す羽目となった。 例によって背景と人を写実しながら、奇をてらうことなくゆっくりとしたペースで、 事件解決に向かうメグレのやり方が魅力である。
r991211