ハヤカワ・ミステリ文庫 RENDEZVOUS IN BLACK 高橋 豊 訳
ジョニーとドロシーは心から愛し合っていたが、旅客機の心ない乗客が落としたコーラの瓶でドロシーは帰らぬ人となった。ジョニーは復讐を誓う。
上院議員ギャリソンの最愛の夫人はドアにささっていた釘で傷を負い、破傷風になって死んだ。そして「どんな気持ちかわかったろう。」と嫌がらせの手紙。ストリックランドが愛人を訪問すると殺されていた。
しかしないがしろにしていた妻の裏切りにあって彼は犯人に仕立てられ、死刑になった。
現場に落ちていた嫌がらせの手紙は妻が処分した。ペイジとシャロンは愛しあっていたけれど、ペイジが兵役に出た。ペイジの元にシャロンの愛の手紙と同時に彼女の浮気を告げる匿名の手紙。心配の末、脱走して彼女の元に駆けつけると彼女は殺されていた。そして彼にも銃弾が・・・・。二人は心中したとして処理された。
カメロン刑事は、とうとうある年の5月31日に釣りに行ったグループのメンバーの愛する人が狙われていることに気づき、リチャードの娘マダリンを警戒する。しかし巧みに近づいた犯人は警戒網をくぐって会いに来た彼女を殺してしまう。そしてあの手紙。
アレンの盲目の恋人、マーテインは船で横浜へ脱出を試み、5月31日が開けたと喜ぶが、翌日殺されてしまう。日付変更線を通過したから、1日は48時間あったのだ。
ついに事件の真相を探り当てたカメロン刑事は、ドロシーに似せた婦人警官を囮にして犯人のおびきだしをはかる。
復讐に狂った殺人鬼と刑事の地味な努力を描いた、叙情性豊かなミステリーである。トリックとしては出来過ぎている、現実性としては怪しい、しかしそれらを越えて、きちっとした構成で描かれた作品全体が一編の詩を想わせるような書きぶりはロマンにあふれ、実に魅力がある。
・すがすがしいガソリンの炎のような青を溶かしたような空に、銀色の斑点がひとつ・・・タンホイザーの歌った宵の明星が浮き出して見える。その光はまだ乾かない水彩画の絵の具のように空をつたって、地球へ流れ落ちているように感じられた。(208p)
・衣装から撮影された写真の時期を決定する(215p)
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