長いお別れ   レイモンド・チャンドラー

ハヤカワ・ミステリ文庫 THE LONG GOODBYE 清水 俊二 訳

私、フィリップ・マーローは酔っぱらいで落ちぶれたテリー・レノックスと知り合いになった。
その彼からラスベガスで億万長者ハーラン・ポッターの娘シルビアと再婚したとの通知。
不安を抱かせた結婚だったが、ある日、彼は突然現れ「国境のチュアナまで送ってくれ。」
一方ポッター邸ではシルビアの射殺死体が見つかる。
警察はレノックスを殺人容疑で追跡する。チュアナに送った彼はメキシコの田舎のホテルで射殺死体となって発見され、マーローのもとには遺書らしきものが送られてくる。
事件はテリーがシルビアを殺し、逃亡の果て自殺したものとして処理され、ギャングのボス、メンデイやポッターから捜査を中止するよう脅されるがマーローは追求をやめない。
一方マーローは出版社のスペンサーから作家のロジャー・ウエードが失跡したので探してほしいと頼まれる。
彼は精神病院に入っていたが助け出される。
マーローはこの事件とテリーの事件がつながっていると考えた。
レノックス、メンデイ、それにラスベガスのランデイは互いに戦友だった。
やがてロジャー・ウエードが自宅で射殺されているのを妻のアイリーンが見つける。
一時は自殺とも考えられたが、アイリーンがシルビアにロジャー・ウエード、レノックスと恋人を2度までとられたことを恨み、彼女を殺し、それに気づいておかしくなった夫も殺したと指摘。
アイリーンは遺書を残し自殺する。
さらにテリーの自殺にも疑問を持ち調査を続けると、ある日ランデイに紹介されたとマイオラスなる男が訪ねて来る。
マーローは
「メキシコの自殺はシルビア殺しを隠すための偽装だ。レノックスは生きていて、それは君だ。」
と見破る。

ハードボイルド。
友情を大切にし、あくまで筋を通す、ロマンテイスト、マーローの姿がさわやかに書かれている。短いからっとした文章は、読んだ後、ジンを飲んだあとのような爽快感を与える。

・偽装自殺のトリック 後ろから殴る・・・弾丸を抜き取り引き金を引く・・・銃声・・・布れで覆い、外に・・・睡眠剤で眠らせ、氷漬けにする・・・弁護士が到着・・・体は冷たい、意識はない、わずかに血がにじんでいる(528p)
・アイリーンの自殺・・・デメロールという麻薬が使われている(40ー50錠)
・ロジャーの死・・・銃声が聞こえない瞬間を選んで引き金が引かれたが、そのため他殺と言うことになった。(408ー409p)
・死を愛している殺人犯人もいて、彼らにとっては、殺人は自殺が形を変えたものに等しい(445p)