創元推理文庫 THE DOOR BETWEEN 井上 勇 訳
東京帝国大学教授の娘にして「八雲立つ」の作家カーレン・リースは自室で死体となって発見された。ハサミのようなもので首をついたらしい。彼女は癌研究で世界的に有名な医学博士ジョン・マクルアと婚約していた。
死亡推定時刻にカーレン自室の入り口では養女のエヴァ・マクルアが見張っていた。奥の部屋に通ずるドアには閂がかかっていた。最初エヴァが犯人として疑われるが、クイーン父子が真相を追ううち、奥の部屋に女が住んでいたらしい事が分かった。
彼女は、日本で死んだと思われたカーレンの姉エスター・リースで、彼女は娘を種にカーレンに強請られ、カーレンの作品を書かされていたのだった。その彼女は、つい最近消えてしまったらしい。クイーン父子はついに密室の謎はカーレンが自殺したから、首をついた所作はハラキリに対応するものであると看破する。
なぜカーレンは自殺したのか。エスターが逃げたため作品が書けなくなったからなのか。クイーン父子は、カーレンの所業に手を焼いたジョン・マクレアが「君は癌である。もう余命が少ない。」とつげ、悲観させ自殺させたものである、と考え、偽の遺書を見せて追求する。
全体としては密室推理の一問題として面白い。 事件発生前後にカーレンの部屋にいた樫鳥が逃げ出す。この鳥が証拠となるおれたハサミの片割れを屋根裏に隠してしまうと言うトリックが面白く、鸚鵡をしつけて宝物を盗ませる「レントン館盗難事件」を思わせる。一例だが181pの「キヌメには、白い肌に対する尊敬の念を決して捨てきれないと言うことだ。」・・・・この文章はどうという事はないが、作者の日本人感をしめす面白い。 全体、この作品の日本人感は独断と偏見に満ちているが、それがまた妙な魅力ともなっている。
・服から判断すると・・・その女は5フィート7か8インチの背丈でしょうね。目方は130と140の間です。もちろん明るいブロンドの髪を持っていて、皮膚の色は白い。押入の服の型から見て・・・若い女ではない。(162p)
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