大穴             デイック・フランシス

ハヤカワ・ミステリ文庫 ODDS AGAINST 菊地 光 訳

ダンステイブル競馬場は、理事の一人がおかしくなり、最後は自殺し、住宅地に変わってしまった。
今、またシーベリイ競馬場の株がおかしな動きを見せ、妙な事故が起こり、人気がなくなり、何時つぶれて、売りに出されてもおかしくない状態だ。
撃たれるはずのないチンピラに撃たれ、瀕死の重傷をおい、騎手としての選手生命をたたれ、廃人同様のラドナー探偵社のシッド・ハレーは、その黒幕を暴くために調査を開始する。
義父が呼び寄せたクレイ夫妻のカバンを開け、中の資料を写真に撮り、シーベリー競馬場株の買い占めを知る。
ボルトという株屋の秘書ザナ・マーテインに近づき、シーベリー株を顧客に勧めていることを知る。
しかし、大レース開催間近のシーベリー競馬場では、不振な硫酸を積んだトラックが競馬場を通る道で横転し、土を入れ替えなければならなくなっていた。
厩舎で火災騒ぎが起こった。
そして試走をしてみると、木の陰に鏡が立てかけられており、障害を越えたときに騎手の目が一瞬くらむように細工されていた
そして問題解決になぜか消極的な競馬場支配人のオクソン大尉。
ついにシッドは、犯人がクレイ夫妻、ボルト、オクソン等で競馬場の人気をなくさせ、住宅地として売りに出させようとしていることを知った。
しかし、牙をむいた犯人たちに追いかけられ、競馬場の中を逃げ回る羽目となる。
古いボイラーの吸水口に死んだネズミを入れ、空だきでボイラーを爆破させようとする彼らの陰謀は阻止したが、捕まってしまった。
「証拠の写真のネガはどこに隠した。」
とせまる彼らはシッドの腕をつぶし、拷問するが・・・。

デイック・フランシス競馬シリーズの魅力は作者が騎手であるため、ストーリーにも文章表現にもその経験と知識がにじみ出ている点にある。
この小説も例外ではない。
ただ、身障者であるシッドを馬鹿にしたり、拷問したりするシーンは迫力がありすぎる?嫌いがあるようにも思う。
読んでいて、何かやりきれない。

・(変装で)「耳と手は変えることが出来ないんだよ。試みても無駄なんだ。耳と手に専念したら、まず間違うことはない。」(42p)
・「憐れみと同情は同じものだとお思いになって?」ためらいながら聞いた。「たいがいの場合はね。しかし、同情は思慮のある態度だし、憐れみの方は不作法ですよ。」(160p)
・「例の硫酸を積んだタンカーは、トラクターで引き倒したんだよ。ややこしい起重機なんか必要なかったんだ・・・・」(229p)