創元推理文庫 THE HOUND OF THE BASKERVILLES 阿部 知二 訳
物語はホームズを、ダートムーアの寒村で開業している老医師が、訪問してくるところから始まる。彼の知りあいのバスカヴィル家の当主が、真夜中に庭に散歩に出たが、牧場に続く櫟井の並木道のはてで、変死していたというものだ。近くには、途方もない大きな犬の足跡。バスカヴィル家の伝説では、200年ばかり前の当主が、放蕩で、最後は犬の化け物に殺されたという。死んだ当主は、最近この伝説を酷く気にしていたそうだ。
パスカヴィル家は途方もない財産家だが、当主が死んだ跡、相続人がいない。結局アメリカかなにかから甥にあたる男がやってくるのだが、彼は「速やかに立ち去れ。」という手紙を受け取ったり、ロンドンのホテルで片方だけ靴を盗まれたりする。現地について、召使いのバリモアの妻の弟の死刑囚の男がムーアに逃げてやってくるが、この男も犬に殺される。ところが調べてみると実は彼は甥の服を来ていたことから、犯人は甥を殺させようとしたのだが、誤って死刑囚を殺してしまたのだと分かる。
強敵とみたホームズは、ついにワトソンらと協力して、犯人をおさえるために、甥をだしにして、網を張る事を考える。彼が犯人と睨んだのは近くに住む兄と妹。このふたり、ホームズの調べで実は夫婦であり、兄と称する男が遠縁で、当主が死に甥が出現しなければ、パスカヴィル家の財産を相続できるかもしれないというのだ。そこで兄と称する男は妹、実は妻をだしに、当主を真夜中にさそいだし、秘密に沼の奥に飼っていた犬を使って、殺したのだった。そして今、兄は甥を殺そうとするが、そこにはホームズの罠が・・・・。
妹を餌に呼びだし歓待した暗い帰り道、甥をあの大型犬におそわせるが、間一髪ホームズが現れ、犬を射殺し、甥は助けられる。
こういった筋だが、話の持って行き方が面白く、人物にも起伏が在り、なかなか面白い。しかしそれにしても実際の夫婦が兄妹と偽って住んでいたとして事件が起こった場合、戸籍からばれてしまわないのだろうか・・・。
* 実は相続できるという過去のしがらみ
* 偽名で住む兄
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