角川文庫 STEALING LILIAN 上田 公子 訳
旅行会社と職業紹介を掛け持ちでやっているバニーは口先上手のとんでもない野郎、ある時店口にきたすごい美人のエラ・ブラウンにカリブ海の島へのバカンスを勧め、出かけている間、彼女の部屋をオハイオから来た二組の夫婦に貸した。
ところがこの夫婦、酔っぱらって家の中をさんざんに壊してしまった。
弁護士スニザードにバニーがとっちめられているとき、秘密情報局のラスキーという男が割り込んできた。
アメリカにドイツ系の危険人物4人が不法入国してきた。
彼らの目的は金、誘拐しか考えられない。
バニー、エラ、それに孤児院からつれてきたリリアンの3人が突如出現した大富豪にばけ、リリアンを4人に誘拐させてほしい、当局はその瞬間に彼らを捕まえたいというのだ。
豪邸に住み、むつまじい一家のふりして、記者会見。
これが効ををそうして、早速誘拐犯が現れたが最初は人違いのちんぴら二人組、この作戦は失敗と思った頃、本物がリリアンをさらっていった。
しかも前日海に行ってため、体にバンドエイドみたいにつけておいた小型発信器は、はずしたままで・・・・。
誘拐犯から身代金の要求があり、双方の小手調べがあった後、本番。
リリアンの身を案じたバニーは、警察を出し抜き、大富豪の名をかたって、本物の金をトラックに乗せて出発。
危機一髪も「金の袋に時限爆弾が仕掛けてある。」だの、自動車の工作などで切り抜け、猛火の中をリリアンとともに脱出。
悪党4人も逮捕されてめでたし、めでたし。
だいぶやけどをしたけれど、不倶戴天の敵だったはずのエラがベッドに潜り込んできてやさしく手当してくれるのでありました。
抱腹絶倒の傑作ユーモア推理小説。
前半はバニーのはしこさ、オハイオから来た4人組のはちゃめちゃぶりで笑わせ、後半はバニーが活躍する一大活劇となる。
そしてバックに関係ない3人の間に通い始める家族らしい情愛が描かれている。
通常の誘拐物とはひと味もふた味も違った楽しい作品である。