新婚のローズマリーと夫は近代的な白いアパートを捨て、人を食う魔女が住んでいたなどおどろおどろしい噂のある、古いプラムフォードのアパートに移り住むことになった。
そして妊娠。隣人のキャスタベット夫妻と行き来するようになり、その紹介でサパースタイン医師にかかることになる。
しかし腹部への異常な激痛、生肉嗜好、医師や隣人の不振な言動に次第に不安になる。
その上、隣家に寄宿していた若い女性の洗濯場での怪死、俳優の夫のライバルの突然の失明、彼女に何かを知らせようとした友人の怪死・・・。
いくつかの情報と証拠から彼女は夫も隣人も医師もみんな悪魔信仰にとりつかれており、生まれてくる子供を悪魔に捧げようとしていると信じるようになる。
必死の逃亡の末の出産。
医師は「子供は死んだ。」という。
しかし彼女は隣家と自室の連絡通路を信じ、忍んで行くと、彼らはまさに生まれた子供を神に捧げようとしているところ・・・・。
非常に分かりにくい結末である。
どこまでが夢で、どこからが現実かと考えさせる。
子供は五体満足だったのか、それともサリドマイド児のようなものだったのか。
夫や隣人は本当に悪魔信仰にとりつかれていたのか、子供に何をしようとしていたのか、ヨーロッパに行った隣人はなぜ帰ってきたのか、さらに途中の家庭でも激痛や生肉嗜好は何を意味するのか、夫のライバルの失明や友人の怪死はのろい殺されたとだけ解釈すればいいのか等々。
著者はこれらの疑問を読者の自由な解釈にゆだね、それによって読者の恐怖心をあおり、結果として面白さをだしている。
確かに「面白かったか。」と言われれば面白い。
しかし、論理を指向する推理小説愛好者にとっては何か割り切れない。
隣人のローマン・キャスタベットが文字の順序を変えると悪魔を呼び出したと言った男、
ステイーブン・マルカトーになるアナグラムが面白い。(225p)