聖者ニューヨークに現れる   レスリイ・チャータリス

ハヤカワ・ポケット・ミステリ THE SAINT IN NEW YORK 中桐 雅夫 訳

ニューヨーク市警視総監宛にロンドン警視庁からサイモン・テンプラーなる滅茶苦茶に強い義賊が行ったとの連絡。
サイモンはヴァルクロスから殺された息子の復讐に100万ドルをだすとの依頼を受けてやってきたのだ。
相手は6人。彼等ギャング団は政治家を、判事を、検事を、警察を巻き込み、ニューヨークを支配していた。
そしてそのビジネスは誘拐。身代金が上がりとなる。
サイモンはまずギャングに加担しているネーサー刑事を脅かして金を巻き上げ、それを餌にギャングの巣窟に潜入、ウエリノ、アーボール等を倒す。
仲間内の争いでパプロスが倒れ、エデイも殺す。
最後にこれを機会にギャング組織を乗っ取ろうとしたクルマンを倒し、残りは「大将」と呼ばれる不明の男。
彼こそはこのビジネスを作り上げ、上納金を銀行に振り込ませ、人には顔を知られず、利益をのうのうと得ている男・・・・。
その捜査中、サイモンは警察に売られ危機一髪。 「大将」の実態をつかむとなんとヴァルクロス自身だった。
ギャング共は誘拐ビジネスの期限を決めていた。いよいよ分配の時期、ヴァルクロスはサイモンを利用して仲間を消し、稼いだ金を独り占めしようとしていたのだ。
しかし真相が明らかになった今、ヴァルクロスに待っているのは死のみだった・・・・。
サイモンのルパンを思わせる荒唐無稽な強さと妙に乾いた文章が魅力。
大衆ギャング小説の白眉と言うところだろうか。

・身代金を要求されて捕まっているのが君の息子、妻、兄弟姉妹だとしたら、 そして誘拐者が沢山のガラガラ蛇のように情け深いと知ったら・・・ 君は金をださないかね。(52P)