センチメンタル・シカゴ    サラ・パレッキー

ハヤカワ・ミステリ文庫 KILLING ORDERS 山本 やよい 訳

「4F小説」と言うのがはやっているとか。
女性の作者、女性の訳者、女性の主人公、もう一つは多分女性の装丁になるものの事である。
これはその代表作。

美人探偵のヴィックは母に冷酷な仕打ちをした叔母に呼び出された。叔母はドミニコ会の修道院の会計係を務めていたが、金庫の中の株券が偽造である事が分かり、疑いをかけられた。調査をしてほしいというものだった。

調査を初めてまもなく、友人の証券ブローカー、アグネスが殺される。彼女は恋人のつとめるエイジャックス保険会社の乗っ取りを調査していたらしい。
そして不思議なことに叔母からは調査打ち切り、教会からはなくなった株券が出てきたとの報ががはいる。しかし、彼女は捜査をやめない。すると、硫酸をかけられたり、火事にあったり、自宅が荒らされたり、脅迫電話がかかったり嫌がらせが次々に起こる。
実はローマ教会から派遣されたオファーラン大司教、教会の幹部、叔母等がアグネスの母に金を出させ、それをローマ教会に黙って使える用にするため、エイジャックス保険会社を乗っ取り、ダミーとして利用しようとしていた。その中で教会の株券が一時的に盗み出されたものだった。

適当に活劇があり、適当に謎解きがありで面白いが、この作品の魅力の一つは主人公の生き方と随所に見られる女性作家らしい表現だろう。ヴィックは男性に非常にもて、頭が良く、何事も自分一人で解決しようとする気の強さを持っている。
その素晴らしさはマンガチックなくらいだが、「現実にはこうは行かないけれど、こうなったらいいなあ。」と言う若い女性の夢を捕らえているから人気があるのかもしれない。

・ ・・・それから家に帰った。エネルギーが急激に爆発して、着替えの前に皿洗いをした。金色のシルクのトップはそのままに残し、クロゼットから黒のヴェルヴェットのスラックスを見つけてきて、黒とオレンジのスカーフをあしらった。人目を引く装いだが、悪趣味ではない。
・私のようにやせた男の好きなものにとっては、フェラント自身も素敵だった。 彼はウエストに小さいプリーツを入れた、仕立ての上等な、ラフな感じのスラックスをはき、淡い黄色のシャツの上に来いグリーンのセーターを羽織っていた。 ドアを開けたときは丁寧に櫛の入っていた髪が、私が彼の抱擁に答えた拍子にはらりと目の前に落ちた。