ハヤカワ・ミステリ文庫 EARLY AUTUMN 菊地 光 訳
ご存知スペンサー・スーザンシリーズ第7巻。
離婚したばかりのパテイ・ジャコミンから「分かれた夫メルに息子のポールを連れ去られた、連れ帰って欲しい。」との依頼。
メルの愛人エレインの住所を手がかりにメルの住処を探り当て息子奪還に成功する。
しかしメルの用心棒バデイ等を使っての息子奪還騒動は続き、パテイからしばらく息子を預かって欲しいとの依頼を受ける。
スペンサーは息子が夫婦の争いの道具として利用され、彼自身が自立していないことを見抜き、ボクシング、大工仕事、ランニング等を軸にトレーニングを行い、ポールを自立させようとする。
しばらくして突然「息子をメルのもとに返す。」から返して欲しいと言うパテイをポールのために拒否。
メルの背景を洗うと1級の悪で放火犯のハリーとつながっていることをつきとめ、さらにパテイは男狂いの日々を過ごしていることを突き止める。
ようやく自己を確立したポールが演劇学校に行きたいと言うのを受け、スペンサーは二人にポールの生活に干渉しないこと、ポールの生活に必要な金をだしてやることを約束させる。
推理小説と言うよりさわやかな教訓小説と言った趣で、私はいつか息子や娘にも勧めたい1冊と思った。スペンサーの男らしい生活態度、健全な生活者としての考え方が随所に現れ、好感を呼ぶ。
・仮にお父さんが、自分はバレーが好きだとか、息子のお前もバレーが好きだ、と人々に言った場合、彼は、あれは男がやる物ではない、と言う男友達に出会う危険を冒すことになる。その場合、彼は、男とはなんだ、それも立派な男とはどういう物か、考えなければならないが、彼はその答えを知らない。そう考えてくると、彼はひどく脅える。(176p)
・あるがままの現実を、先入観をもたずに受け入れ、ベストを尽くすことが一番大切だ。
(224pをはじめ同じ概念の記述が所々にある。)