創元推理文庫 LA DAME DANS L'AUTO 望月 芳郎 訳
私はダニー・ロンゴ26歳タイピストとして広告会社で働いている。
社長はミシェル・カラバーユでその妻のアニタはもと私の親友だった。
ある日私は膨大な量のタイプを明日までに仕上げて欲しいと頼まれ、ミシェルの自宅に行く。
翌日頼まれて、アニタの新車サンダーバードでジュネーブに行く夫妻を空港まで送った。
その帰り、私は海が見たくなり、車を社長宅に回送することなく、南に走らせる。
途中ジョワニーで婆さんに「あんたはここで車を修理していた。」と言われ、さらにザバロンの洗面所で襲われ、気を失う。
そして気がつくとスタンドの男は「今朝は上手に運転していたのに・・・・。」
私はずっとパリにいたのにおかしな話しだ。
不良少年フィリップと知り合い、恋いに落ちるが、彼は車を盗んで逃走。
やっと車をカシスで見つけたがトランクを開けると見知らぬ男の死体。
男はモーリス・コープでアニタの知人。その自宅を訪ねると壁にはダニーの写真。
いろいろな証拠を集め、真相を突き止めたダニーはミシェルの別荘を訪れ、彼と対決。
最後の章「銃」はミシェルの告白。アニタが情夫のモーリス・コープを射殺した。
そこで夫婦はダニーになすりつけようとした。
殺した後、ダニーが死体をサンダーバードのトランクに入れてパリに戻り、自殺したことにしようと考えた。
そのためアニタはダニーになりすましあらかじめ送っておいた車を運転してパリに戻った。
ミシェルはダニーを自宅に呼び、タイプをさせる一方、眠り薬で日付感覚を狂わせ、車で空港に送らせると見せて後を追った。
自殺に見せかけて殺し、トランクに死体をいれようとしたのだ。
ところがダニーが妙な心を起こして南に向かったため、事態は滅茶苦茶になってしまった。
最後にミシェルが殺人犯として、自首し、ダニーは新しい恋人と結ばれる。
非常に凝った作品で、作者の頭の良さに感心させられた。
二つの犯罪に近い行為が同時に起こり、そこでの登場人物のこころや考え方の変化が非常にヴィヴィドに描き出されている。
非常に短期間で書いた作品らしい。 プロットを十分考えて書き始めたので書けたのだろうと思った。