創元推理文庫 LAST SEEN WEARING 山本 恭子 訳
「キドリントンから消えた娘」と同様、女学生の失踪劇と刑事のしつこい追求がポイントになっているが、こちらは悲劇で終わる。女友達の日記にも証拠を残させぬ手口は、
森村誠一の「高層の死角」を思いださせた。
パーカー・カレッジのスポーツ好き、学業も悪くない評判の女生徒ロウエルが、突然寄宿舎から姿を消してしまった。心当たりのあると所はすべて調査し、鉄道、タクシー会社を調査し、あげくは裏の湖までさらって見るが行方は要として分からない。捜査が行き詰まったころ、湖にかかる橋の下から彼女の髪に留めるピンがみつかり、再度調査すると、下流の川の支流に近いところで、死体が見つかった。彼女は妊娠していた。
自殺とも考えられたが、フォード警察署長の発案で氷を橋の下からながして実験したところ、そのような状況は起こり得ないことが証明され、殺された後、現場に運ばれたものと判明した。
手がかりは彼女の日記だが、登場する人物はみんな問題がない。しかし何度も読み返した結果、彼女は恋人と会った日に!!!の印を付けていることが分かった。そしてクリスマスのころ、ニューヨークのどこかのホテルに泊まったことも・・・。
日記にはない、彼女の身近にいる独身男性の観点で再度調査を開始したところ、歴史科教師のソワードが浮かんだ。徹底した尾行と張り込みで逢い引きした新しい女性をつかむ。彼女を追求し、犯人との確証を得る。家政婦の協力を得て、自宅捜査と彼女のバッグの発見し、動かぬ証拠を握る。
職務に忠実なフォード、不満をいいながら協力する学卒のキャメロン巡査部長、狼狽し、金にあかせて手がかりをつかもうとする父親などの苦闘ぶりと人間性が存分に描かれている。
・(行動を暗示する日記の文章)「わたしはまた遅れた。何か非常手段を講じなければならない。」(190p)
・咳止めドロップと釣り銭によるデートの約束(296p)
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