死体は散歩する        クレイグ・ライス

創元推理文庫   THE CORPSE STEPS OUT   小鷹 信光 訳


ラジオスターの歌手ネルを脅迫していた役者兼デイレクターのポールが自宅で射殺された。
ところが彼が持っていた脅迫状と共に死体が消えてしまう。
ネルは恋多き女性。
元百万長者で今は文無し、しかも精神病のトウーツを夫に持ちながら、ポールの外に役者のベイビーやエージェントのジョーにも恋している。
別のエージェントのジョンは妻のエシーにさえ恨まれている冷血漢、ネルを引き抜こうとポールの脅迫状の所有をちらつかせて彼女にオーデイションをさせるが売り先のギヴァスが殺されてしまう。
死体を発見したネロのプレスエージェント、ジェイク等は大慌てでネロに傷をつけてはならじと死体を砂漠に捨てる。
ところが帰り道倉庫の火事に遭遇、飛び込むとそこにはポールの冷凍死体、それをジョンの家の前に置く。
ところが翌日お手伝いはポールの死体と同時に自室で殺されているジョンを発見・・・・。
「犯人はネロ!」と考えた警部補のフラナガン、彼女の名声を守り通し、真相を探ろうとするジェイクス・マローン刑事弁護士組の戦いが面白い。
犯人は実はネロのために尽くそうとしたトウーツで彼は狂喜を装っていたのだった。
脅迫状が実は3通あったところが面白い。
途中死体移送の話しなどいろいろあるが、老齢の彼が精神病院に行き、解決。
ネロは名声を傷つけられる事無く、再契約する。
1940年に書かれたマローン刑事弁護士シリーズ第2弾と言うことだが、ユーモアと皮肉にとんだ楽しい推理小説である。

・人生とは針の飛んだレコードみたいに同じ節を繰り返すものだって。(55p)
・今日はオーデイションもないし、僕の知る限りでは殺人の予定もない。(146p)
・真実の愛ってあるのよ。・・・・身も心も捧げて愛せる人、その人さえいれば他に何もいらない、そんな相手が欲しいの。 他の人たちは恋に落ち、一生愛し合って暮らすけど、あたしはだめ。 愛のまねごとをしているだけ。・・・・(179p)