創元推理文庫 THE SPANISH CAPE MYSTERY 井上 勇 訳
スペイン岬の突端にある豪奢な別荘にはゴドフリー夫妻、その娘ローザ、婦人の弟カマーのほか、客として太ったおばさんカンスタブル夫人、ローザの婚約者コート、悪人マーコ、素性の分からぬマン夫妻等怪しげな人物が住んでいた。
ある夜、ローザとカマーが大男に襲われ、海をへだてて別荘の向かいの浜の小屋に連れ込まれる。ローザが後で語ったところによると、カマーは殴り殺され、大男は誰かに「マーコに天罰をくだした。」と電話していた。「カマーはマーコと似ていて人違いで殺された。」とささやかれる中、その夜遅く、裸体の上にコートを着ただけの形で、別荘の広間で絞め殺されたマーコが発見された。
なぜマーコは裸で殺されたか、がこの作品のテーマ。彼はローザからの偽の手紙で広間に呼び出されていた。その後の調査で怪しげな客達は皆ゴドフリー婦人の知り合いと称していたが、いずれもマーコが無理矢理呼んだものであること、マーコはゴドフリー婦人、カンスタブル夫人、マン婦人をいかがわしい写真と証拠をタネに強請っていたことが分かった。
面白いことにマーコの死後も、何者かによって強請は、続けられ、ついにはカンスタブル夫人を自殺に追いやった。
強請の犯人はやめた女中のピッツで彼女はマーコの妻だった。金を取りに来たところを逮捕された。
マーコ殺害は、まず犯人は大男を雇い、自分が殺される現場をローザに見せてアリバイを作った後、泳いで別荘にたどり着き、姉を苦しめた悪人マーコを殺した。犯人は裸で犯行現場に待ち伏せていたため、陸路を逃亡するために服が必要だった!最後の犯人探しの過程が、立ち聞きなど安易なところも見られるが、この「なぜ被害者は裸で殺されていたか。」の謎解きは非常に面白いと思った。
・私に言わせますと、女をいたぶる男に、二つの一般的な型があるように思われます。こちこちの女嫌いと、はい、それから・・・・亭主との(194p)
・完全犯罪というのは、目撃者がいない、どこかのくらい路地で、知らぬ人間を、行き当たりばったりに殺すことです。
何の変哲もない。 毎年、100件近い完全犯罪がある・・・・いわゆる精神薄弱な無頼漢どもが犯すわけです(407p)
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